Я[大塩の乱 資料館]Я
2011.5.26

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大塩の乱関係論文集目次


『大阪府誌 警察史』

その72

大阪府 1903 より


◇禁転載◇

又、市区内、及び外国人居留地の火災に際しては、消防上、并に場所取締 に付き、一層注意を要す。其の他、市郡制法に掲示の諸規則は、常に熟知 し、之れに照準し、以つて職務を取扱ふべしと。 又その細則の大意を云はゞ、巡邏は長官、伍卒に途中に逢ひ、若くは交代 出入の節は、必、礼儀を尽くすべし。 又、仮令休暇日たりとも、諸科規則を学び、徒に時日を過さず、異変あら ば、速に出勤し、決して遊里等へ立寄り、役威を仮りて、私意を挟み、金 銀貸借、買物代金不償等の所業、及び人民の訴訟等に関係し、其の嘱託を 容れ、謝物を受くる等のことあるべからす。 又、服務中は勿論、私宅へ帰り、若くは、私かに市中を徘徊し、民家其の 外へ立寄り、休息し、及び飲食、喫煙、買物等をなさず、常に沓、帽子を 着用し、其の受場中、不断循環し、昼は二字、夜は六字間にて交代し、喧 嘩口論等をなす者あらば、双方を鎮め、厳しく説諭を加へて、所役人に引 渡し、若、器物を持して、毀傷する等の事あり、若くは盗賊は勿論、市中 を暴行し、人民の障害をなす等あらば、即時之れを召捕り、人相書を以つ て物色すべき犯罪人は、往還、并に止宿人等に注意し、一層厳重に探索を なし、又、旅人その他、内外人とも土地不案内にして、路頭に迷ふものあ らば、懇切に教示し、市中に於いて炮発するものあらば、捕押へ、棟梁等 の破損に由りて通行に危き場所あらば、速に申出づべし。 外国人居留地は勿論、乞食輩の徘徊するものあらば、厳重に追ひ払ひ、其 の他、外国人の喧嘩口論等、不法の所業あらば、成る可く捕縛を用ひず、 之れを外務課へ引渡し、外務課は、其の所業に就きて、見聞すべき事実あ らば、之れを取調べ、後日の証拠とすべきを懇諭して、其の姓名住所等を 記し置き、外国館中に内外人の犯罪者あらば、本府に申出で、指令を俟ち て、之れを処分すべく、若、逃亡等の憂あらば、見張りものを付け置くべ し。 内外人民を殺傷する等の所行あらば、直ちに捕亡の手配をなし、其の旨、 早速本府長官に達し、外国人は外務局へ達すべし。 又、博奕、其の他の賭諸勝負をなすものあらば、捕押へ、たとへ小児とい へども、貝を廻はし、銭、木実等を以つて勝負を争ふの遊戯をなすあらば、 其の親々教誡を申付けて、向後を戒め、再三戒を犯す者あらば、親の任所                               ひさ 姓名を記し、本庁へ届出で、又、春画、その他、淫行の偶像画像を鬻ぐも                  たんせき のあらば、現品を没収し、及び赤裸、袒裼の者あらば、厳重制裁を加へ、 再三犯すものは、捕り押へ、共に本府へ差出すべし。 又、市中に於いて、羊豚、その他、臭気甚しくして、人の健康を害するも                                  のを飼置く者あらば、厳しく之れを制諭し、乗馬にて往来雑沓の場所を馳 駈し、夜中無提灯の者は、捕押へ、自転車に乗り、橋上、又は街路に於い て戯に廻転し、往来の妨をなす者は、之れを没収し、又、神オロシ、稲荷                   きょうわく オロシなど、妖怪の所業を以つて人民を誑惑するものは、捕り押ふべし。 出火の報あらば、其の臨場区域は、其の出火の大区中諸局、及び隣区相接 する場所を限り、速に駈付け、人民輻輳の要所に注意し、賊徒、并に不審 の者を厳重に取締り、且、空手傍観の者は、立退かしめ、都べて消防上の 指揮をなすに当りて、粗暴の拳動あるべからずと。 又、越えて翌六年四月、更に設けられし取締規則あり。元来従前に於いて は、主として、市中の取締に勉め、郡部に於けるものと、稍、その平衡を 失するの感ありしが、爰に郡部に邏卒を増して、其の取締を厳にすると同 時に、市中の勤方心得、及び郡中取締規則、并に其の勤方心得等を布けり。 然るに其の主義は、昨五年七月に設けられし取締綱例と大同小異にして、 要するに、其の取締法の一屠緻密となりしに過ぎす。是に於いて、今は其 の重複を避け、特に注目すべきものゝみを摘示せん。


『大阪府誌 警察史』目次/その71/その73

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