Я[大塩の乱 資料館]Я
2011.5.27

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大塩の乱関係論文集目次


『大阪府誌 警察史』

その73

大阪府 1903 より


◇禁転載◇

 外国館中に於いて、内外人犯罪者あらば、見張の者を付置き、本府へ申 出で、指令のうへ、所分し、現犯罪人に非すば、長官の命を待たずして、 ほしいまま 擅に拘引捕縛をなさず。然るに、人を殺し、若くは傷け、及び盗賊、放火、 強姦等の犯人にありては、現に其の所業を見ずといへども、衆人の告知し て、確証あるに於いては、即時に拘引し、又、市街に於いて従来道路を侵 せる建家の、更に改築を願ふもの、落成の後、なほ道路を侵せる疑あらば、 最初願出の始末を聞き糺して上申し、棄児迷子を見ば、其の場所の戸長へ 引渡して、処分せしめ、官私の家宅倉庫等、夜間の戸締油断の者あらば、 監守者、若くは主人に知らすべし等にして、又、郡中の取締規則の大要は、 管内郡中の人民を保護し、生業を安全ならしめんがため、郡中取締邏卒を 置き、国律を犯し、布令に背く者を懲戒し、盗賊奸兇を追捕し、人民一切     さんじょ の妨害を芟除し、以つて村里を静謐ならしむるにあり。 即、郡中七郡、住吉郡、西成郡、東成郡、島上郡、島下郡、豊島郡、能勢 各郡は、郡中央便宜の地に取締局を置き、局毎に組長一人、小頭一人、邏 卒五人を置き、なほ豊島、島下の二郡は、土地大なるを以つて、邏卒二人 を増し、総べて組長七人、小頭七人、邏卒三十九人、又、各郡中、取締は、 府庁取締課の分課にして、其の組長は、其の郡中取締の事務を管し、邏卒 の勤惰を督し、邏卒を指揮して、其の職務を尽さしむるを以つて、職掌と し、其の勤務時間は、午前八字より午後四字迄にして、時々其の郡中を巡 回し、物情の動静を察し、邏卒の職務を尽すや否やを監し、若、規則を犯 し、及び他の犯罪の事あらば、之れを糺し、取締総長に申出で、行倒死、 溺死、其の他非命の死をなす者あらば、其の死骸をし、其の事故を聞糺 し、所役人、并に関係の者の申立書を取り、速に府庁へ申出で、出火は際 しても、亦、速に駈付け、消防上の指揮をなし、消火の後は一件取調書を 作り、紛失物書画を添へ、速に府庁へ申出で、又、受持郡中より紛失物届 出で来たらば、取糺の手当と為し、拾ひ物届出で来たりても、亦、其の郡 中の諸人、往来の場所に掲示する等、専、郡中に於ける警察上の指揮をな すものなり。 又、小頭は総長を佐け、邏卒の勤惰を督し、邏卒と共に、受持の郡中を巡 邏し、邏卒は、五日毎に一日の休暇を除くの外、巡邏の勤務時間は、其の        ママ 程度を昼夜十二字間とし、即、午前八字より正午十二字迄、午後二字より 同六字迄、同八字より同十二字迄とすれども、専、土地の遠近物情の動静 を計り、休憩の時限を繰合せ、早朝、深夜共巡邏し、又、祭場見物場等、 諸人群集の場に注意し、乱酔暴行の者を取鎮め、車馬の混雑を制し、総べ て諸人の煩となるべきものを制止し、又、職務上の機密一切他に洩らすべ からず等なり。


『大阪府誌 警察史』目次/その72/その74

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