Я[大塩の乱 資料館]Я
2000.6.9
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「咬 菜 秘 記」その44
坂本鉉之助
『旧幕府 3巻8号』(旧幕府雑誌社) 1899.8
より
◇禁転載◇
適宜、句読点・改行をいれています。
〔猟師金助〕
東在に住む猟師の金助といふもの、去年の冬にや雁を一羽鉄砲にて打て、夫を鉄砲に掛けて黒門口の茶店に休み居るが、側に休し侍一人
と問ふ。
と云ふ。
然らば此方の先生は殊の外 鳥が好物にて、殊に鉄砲鳥が好なれば夫へ売らぬか
と問ふ。何れへ売るも同断なれば、
と云ふ。
と同道して大塩へ連れ行きけれは、
とて、先ツ飯を喰せ酒を呑せて、
と尋けれは、
(と)云へは、
然らば其価は二貫文取らすべし。置(重)て取たらは(必らず)又持て
来れ
と云はれけれは、大に忝きことに思ひ、其後も鳥をとる度に大塩へ持参すれは、毎も過分に代銭を貰ひ、飯よ酒よと寵遇せられ、其上施行金をも貰ひ殊の外難有かりければ、是へも又天満の火事には一番に駈付て働け、と申付置ければ、十九日の火事と聞くと女房に此度の褒美は小判を重ると云て駈出し、場処迄鉄砲を打歩行て働き、卒に召捕になりて入牢せしか大方牢中にて死たり。
小筒を以て貞を覘ひ打たるは此者ならんと云。
「咬菜秘記」その43
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