Я[大塩の乱 資料館]Я
2000.7.9訂正
2000.6.6
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「咬菜秘記」目次
「咬 菜 秘 記」その52
坂本鉉之助
『旧幕府 3巻8号』(旧幕府雑誌社) 1899.8
より
◇禁転載◇
適宜、句読点・改行をいれています。
〔東町奉行所近所火薬設置〕
西奉行所の隣にある公事宿の亭主を奉行所より呼出て白州へ呼入、囚人両人を見せて、
と尋あり。亭主一向見知らすと申す。
左らは宅に帰りて下女共に能尋ね見よ。何の(ぞ)替りたることありや。又 何れの座敷の床の下に火薬の包み入れあるへし。夫を尋ね参れ
とあれは、亭主走帰りて段々家内を尋るに、
十七八日頃 早朝に、侍武(二)人伏見船(より)上りたりとて来りて、宿を頼む由申せ共、公事宿なれは旅人の宿は致さす
と答へし。
と乞ふ故、座敷へ通して朝飯を出せしか、唯不思議なる事は(箒を借せとて)箒にて頻に座を掃く音せしを、下女が思ふ 異な客哉、無程 立て行く座敷を掃くは疳症の人にや、と存したるの外に不思議なることなしと。
扨其座敷の床の下に火薬を夥敷入置たり。亭主夫を奉行所へ持出て下女か申口を訴へしかは、夫にて分りたるとなり。囚人両人は平八郎か若党にて、伏見船より上りたる旅人となりて、公事宿へ行し者なり。是は東西奉行所共に近辺へ火薬を埋み置て、火災中に地雷火を発して人を驚かさんと巧みしが、東役所は燐家に町家なくして其謀 為すへき様なく、西奉行所計 かく謀りし由なり。
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