|
さ さゝのみ 禾本科 竹実、竹米 しねんがう、さゝむき
ミスヽ
竹実を結ぶのは野薦(日本紀神代上)水薦(万葉集三薦に作る)漢名小
クマサヽ
箭一名小竹にして諸国山中に多し、葉は あり、小にして高四五尺、山民
刈りて馬に飼ひ、又は之を編みて諸器を作る、其実を結ぶに時あり、其間
大約五六十年を経るものにして、俗通して自然粳と呼ふ、此実を粉とし、
クハキク アヲクサミ
を製し、或は小麦粉を和し、麪條となし食ふ、味 麺に似て草臭、又糧
ネ サ ミ
とす、又青田県志に或は「取以醸酒味佳」と云へり、其他千里竹及諸竹に
も実を結ぶ事あり、食ふべきものあり、又北海道にては「すゝの」の一種
の小竹あり、亦実を結び、土人採食す
き きさゝげ 紫蔵科 梓 阿部佐乃岐(本草和名) 阿豆佐(和名鈔)
きもみぢ(古歌) らいでんきり(西京) ゆうだちのき
(木曾) たつの木(熊野) しようぐんぼく(筑波)
らいでんぼく(会津)
古書に、所謂梓弓は此木にて作りし弓にして、木幹直立し、枝葉両対し、
葉は円潤浅湾形にして略相にて小、且薄く三尖、或は五尖に至る、六月複
硬花を着く、形胡麻に似て淡黄色なり、内紫色の細斑点あり、花後長莢を
ジウロクサヽゲ
下垂す、其嫩なる者を裙帯豆の如く食す
ぎやうじやにんにく 百合科 茖葱 やまあらゝぎ、天薹蒜
(大和本草) こびる、たけびる(信州)
やまびる(佐州) せんじやふにんにく、
ぶくしや(北海道)
諸国山中に自生す、葉形長楕円にして、二葉相抱き中心あり、花梗を抽
き、頂き毬をなし、葱類の花を着け、後黒子を結ぶ、佐渡、信濃等の山民
は之を食用となし、根も掘り食ふ、又此根を搗きて餅となし、貯ふもあり、
漢土にても苗葉を 熟し食ひ、又根を塩漬になすと云ふ
み みつぶき 睡蓮科 三豆布々木(和名鈔) おにげす
いはらはす(丹波) げとう(仙台)
シカミ
諸国池沢に生ず、葉は水面に浮び、形蓮に似て、大にして刺多く、蹙衄
し、背は深緑色にして緑色の管脉多く高起し、梗を切れば数孔あり、七月
花を抽き、梗頭一花其形円大にして高起し尖り、頂開裂し、四弁四層の紫
花正午に開き、暮に萎む、此如きこと数日にして歇む、後実熟し、円子あ
り、垂患子の如くにして、稍小なり、粉となし、或は餅となすに宜し、根
は七八月頃とりて煮食す、味里芋の如し、又茎葉は三四月採りて食ふへし、
其後は刺こはくして食しがたし、漢土にて此実を搗きて佐糖を和し、蒸製
するを鶏頭膏と云ふ、又此梗を となし、藕梢菜と名く、味甚美なりと
|
禾本科
(かほんか)
イネ科
野薦
(のすず)
青田県
(せいでんけん)
は中国浙江省
茖葱
(らっきょう)
歇(や)む
|