Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.12.18

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その101

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     三 食用草木 花実之部(5)

管理人註
  

 さゝのみ 禾本科 竹実、竹米 しねんがう、さゝむき                    ミスヽ   竹実を結ぶのは野薦(日本紀神代上)水薦(万葉集三薦に作る)漢名小                    クマサヽ  箭一名小竹にして諸国山中に多し、葉はあり、小にして高四五尺、山民  刈りて馬に飼ひ、又は之を編みて諸器を作る、其実を結ぶに時あり、其間  大約五六十年を経るものにして、俗通して自然粳と呼ふ、此実を粉とし、                         クハキク     アヲクサミ  を製し、或は小麦粉を和し、麪條となし食ふ、味麺に似て草臭、又糧                             ネ サ ミ  とす、又青田県志に或は「取以醸酒味佳」と云へり、其他千里竹及諸竹に  も実を結ぶ事あり、食ふべきものあり、又北海道にては「すゝの」の一種  の小竹あり、亦実を結び、土人採食す  きさゝげ 紫蔵科 梓 阿部佐乃岐(本草和名) 阿豆佐(和名鈔)        きもみぢ(古歌) らいでんきり(西京) ゆうだちのき        (木曾) たつの木(熊野) しようぐんぼく(筑波)        らいでんぼく(会津)   古書に、所謂梓弓は此木にて作りし弓にして、木幹直立し、枝葉両対し、  葉は円潤浅湾形にして略相にて小、且薄く三尖、或は五尖に至る、六月複  硬花を着く、形胡麻に似て淡黄色なり、内紫色の細斑点あり、花後長莢を            ジウロクサヽゲ  下垂す、其嫩なる者を裙帯豆の如く食す   ぎやうじやにんにく 百合科 茖葱 やまあらゝぎ、天薹蒜             (大和本草) こびる、たけびる(信州)             やまびる(佐州) せんじやふにんにく、             ぶくしや(北海道)   諸国山中に自生す、葉形長楕円にして、二葉相抱き中心あり、花梗を抽  き、頂き毬をなし、葱類の花を着け、後黒子を結ぶ、佐渡、信濃等の山民  は之を食用となし、根も掘り食ふ、又此根を搗きて餅となし、貯ふもあり、  漢土にても苗葉を熟し食ひ、又根を塩漬になすと云ふ  みつぶき 睡蓮科  三豆布々木(和名鈔) おにげす        いはらはす(丹波) げとう(仙台)                                 シカミ   諸国池沢に生ず、葉は水面に浮び、形蓮に似て、大にして刺多く、蹙衄  し、背は深緑色にして緑色の管脉多く高起し、梗を切れば数孔あり、七月  花を抽き、梗頭一花其形円大にして高起し尖り、頂開裂し、四弁四層の紫    花正午に開き、暮に萎む、此如きこと数日にして歇む、後実熟し、円子あ  り、垂患子の如くにして、稍小なり、粉となし、或は餅となすに宜し、根  は七八月頃とりて煮食す、味里芋の如し、又茎葉は三四月採りて食ふへし、  其後は刺こはくして食しがたし、漢土にて此実を搗きて佐糖を和し、蒸製  するを鶏頭膏と云ふ、又此梗をとなし、藕梢菜と名く、味甚美なりと


禾本科
(かほんか)
イネ科

野薦
(のすず)










青田県
(せいでんけん)
は中国浙江省

























茖葱
(らっきょう)
































歇(や)む


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