Я[大塩の乱 資料館]Я
2018.3.28

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その102

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     三 食用草木 花実之部(6)

管理人註
  

 しらがし 殻斗科 麪   材質藍白なり、通常は世人熟知の樹なり、但「はうばがし」「うらし  ろがし」「くつばねがし」等葉形一ならず、随ひて其実の形も小異あり、  此実味、多少苦渋なれども通して食用しなすへし、山民搗きて水に浸し、  屡々水を換へ苦渋を去り、煮て米粉を和しとなして食ふ、「かしもち」  又濃州にては「かしだんご」といふ、   しゐのみ 科 椎子   是亦の類にして、実は山果の中にて、其味五穀に近きこと栗実に亜げ  り、炙りて食す、又搗きて米麦の粉に加へ餌として食す、  ひし 柳葉菜科    池沢に生ず、形状は通常熟知の品にして其実三四角、又両角あり、十月    熟か?  頃に熱す、採りて生食し、或は蒸食するもよし、味甘淡にして香し、其茎  は嫩きを採り、曝し、収めて米麦に和し、飯に炊き食す、漢土にては荒歳  飢民を以て飯に代へ、食ふとあり、伏見其他肥前越前にても多く此実を  きて途上にぐものあり、  せんにんにく 科 老鎗穀 ひもげいとう(東京) せんにから、          ゑんこうげいとう、からごま(会津)   元と琉球種にして文化十二年、諸国に伝播す、春下種して生す、高三四  尺、葉形に似て淡緑色互生す、茎上に長穂をなし、一二尺下垂す、深紅  色の細花多く攅簇し、後細粒の実を結ぶ、其熟したるものをとりて之を炊  れば、白粒露出す、之を罌栗の如く諸菜に撒け食へば香気あり、此実又粥  となし、或は搗きて餐となすに味頗る佳也、又蔬となし食す、 附言 以上効用は土地の厚薄により差異あり、又糧の製法麁にして脾胃を損  し、浮腫の病に罹り、或は吐瀉して糧の悪敷を云ふて、製法の麁略なるを  云はずして再び其糧を食せざるに至らん、依て平素草根木葉を採り、種々  に製法調和を加へ、試食をなし置くこと肝要也、

   
 


『飢饉資料』(抄)目次/その101/その103

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