Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.3.16

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その13

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第一 飢饉の前兆
  二 二宮金次郎の予感 (同書)  

管理人註
  

 天保度飢饉の前年夏の頃、二宮金次郎と云ふ人、野州宇都宮にて茄子を 食したるに、其茄子の味全く秋後老熟の茄子の如しとて大に驚き、日光道 中を幸手迄皈る途中、凡そ草木の葉並に実等を試みたりしに、皆秋の時節 になりたる故、其年の気候早や老ひて秋に至りたるなり、必ず飢饉の兆な らんと察し、又草木の根を試みたりしに平年に替らざるのみならず、却て 勢よし、因て思ふ、地上の気候は已に老て秋となるも地中は春夏と異なる 事なし、去れば根を用ふる物を作りたらば、必ず宜しからんとて我が預り の郡中をして苗を皆抜き取り、芋類並大根茎等を作らしめたり、其の秋に 至り、果して米穀登らず世間皆飢餓に迫りたるに、其村の者は皆大根・芋 等の為に餓を免れたりと、






皈(かえ)る
 


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