イ 異聞雑稿(続燕石十種 所収第二一六頁)
天保壬辰の夏、秋の間上州辺にては多く竹に実のりしといふ風聞あり、
此年江戸下谷三弦堀なる武家の堀際の竹に、実の多くなりしを見たるもの、
予が為に云々といへり、昔より竹の実あれば、来年凶荒也といふ事果して
違はず、
ロ 米恩録巻四 (通俗経済文庫第七冊、二五九頁)
饑饉のとし藪竹に実をむすぶとなり、これをじねん子といふ、此実収て
熟飯となすときは、飢をしのぎ食のかはりになるなり、誠にありがたき事
には農作のあしければ、天また竹に実をむすばせめぐませ給ふは、ありが
たき事ならすや云々、
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