Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.4.2

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その29

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第三 開廠賑粥の注意
   三 餓人を救ふ心得
     (救荒便覧、日本経済大典第十五巻五九二頁以下)

管理人註
  

 ○累曰、絶食鵠面茱色やせつかれ、食物をこふともめしを与ふべからず、 うすきかゆをぬるくして少し与ふ、めしを食へば立所に死すといへり、妄 に薬もあたふべからず  ○餓をすくふ法済急方に曰、手拭様のものをあつき湯に浸し、臍腹を 熨せば、じねんと回生すべし、其時白湯の中へ味噌汁又は米のとり湯少し を沖して攪嚥のましめ、腹を滋潤し、その後によくにへたる稀粥を喫て両 三日の間にだん/\かゆを濃して食せ、日を経て軟飯を喫すべしと  ○凡飢人に白菓を食はしむれば死す、慎むべしと  ○又甚うえしものに摶飯を与ふれば死すといへり  ○飢人をすくふにはまず赤土を水にかきたてゝ、半椀ほど飲せて後、食 を与ふべし、又朴の皮をせんじて一椀のませて後、食を与ふべし、この二 法を用ずして食を与ふれば、忽ち死すといへり  ○うふる者に物あたふる時は、ずいぶんいたはり、丁寧にすべし、がさ つにする時は死しても憐をうけじと思はゞ、恩もかへつてあだとなるなり  ○老人あしよはには品によりおくり与ふべし  ○婦人女子ははづかしく、あはれみもうけかたきものなれば、心をつけ おもひやり、五日十日も薄き粥すゝるやうに、穀にてあたふべし  ○かゆをつくり饑者にあたふる時は、手代・わかいもの・世話人正直な るものをえらむべし、あしき者を用ふる時は、米をぬすみ、さま/゛\の あしき事を巧むといへり、恐るべし、主人の志はよけれども、下のあしき 時は、仁恵賑済留滞して詮なし、此意味ときつくしかたし、熟慮深く思ひ て、あやまつことなかれ、又こゝえたる者にはこも古着あたふべし

鵠面
(こくめん)
鳩形鵠面で
飢えて痩せて
いる人の様子


(ぐみ)

熨(の)せば

攪嚥
(かくえん)
かきまぜる

滋潤
(じじゅん)
液体により潤
いを与える

白菓
(ぎんなん)

摶飯
(だんぱん)
にぎりめし
 


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