六、収養流民 飢民他県より来るならば、最寄の広場に流民小屋を建、流
民帳を作り来り次第に小屋に入れ、帳に記し粥施行すべし、若人数百に
満たらは、別の小屋に入るへし、乞食非人には別に小屋を立て施行すへ
し、流民と混すへからす
七、散給薬餌 飢饉の後には必す疫病あるものなり、時日の早晩を論せす、
医師を遣はし診脉調薬なさしむへし
八、別食賑粥 飢者を分て三等六班とすへし、老人は飢に堪兼ぬる者故、
一等とし、一番に粥を与ふべし、病人は別に一等とし、二番に粥を与ふ
へし、小壮なるは別に一等とし、最後に粥を与ふべし、粥は薄きより漸
く濃きに移すへし、是を三等と云、男女は別なくんはあるへからず、男
の三等一側に坐しめ、女の三等一側に坐せしむ、是を六班と云
九、集散賑粥 太鼓を合図とす(拍子木にても宜し)、太鼓一通打終れば、
男は左側に三等の順に竝ひ、女は右側三等の順に竝ぶ、扨人毎に椀一盛
つゝ与ふへし、一椀食をはりて又一椀を与ふ、二椀に止るへし、老人病
人をは見合、適宜滅すへし
十、分管粥吏員 長一人、書記二人、米監方二人、竈頭一人、粥炊一人
(壮年の婦人宜し)、薪取一人、水汲一人(粥炊以下は飢民の内少壮の
人をえらひ用も宜し)勤に怠り私曲をなす者あらは、速に解職すへし
一一、計煮粥米 米人毎に日に三合と定む、粥を食ふ人毎日増減あり、依
て前晩毎に書記より人数を調へて竈頭に通すへし、竈頭人数に応じて粥
を炊くへし、但塩・味噌・漬物・菜等は地方の状況に依り適宜定むべし
黄慎斎話曰、大麦の粉八升、米の粉二升糊粥となし、人を救ふべし、
又米一升、水六升割合にして一升内糯二合を入れば、粘液ありてよろし
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