Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.3

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その57

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第五 飢饉と教喩
   三 上下規戒解義 (同巻六八一頁以下)(1)

管理人註
  

 ○人主当行の事  ○饑饉の節は、人主は格別の御慎みにて、御自分の行状不宜、不徳故に ケ様に天より御咎ある事にて、時節の廻り合にては無之事とおそれ慎み、 御身の行状をかへりみ給ふ事のよし 一、三度の御膳も格別の御省略にて、うまきを用ひず、召物其外御好事無  之事のよし 一、飢としは人命にかゝり候ゆへ、人君第一の御勤に候間、古き役人、是  迄の因循苟且に拘り、よき取計ひ出来兼候へば、新たに才能の士、御択  御用ひ可有之との被仰出有之候事のよし 一、米穀不熟の国々へは夫々役人を遣し、御蓄へ蔵を開かせられ候事のよ  し 一、きゝんに付、了簡有之者共、無遠慮存寄書可差出旨仰出候事のよし、  此方にては当憲院様御代、民のうゑに臨まん時、救に成べき心得あらば、  可及言上との仰出され有ける由 一、処々御蔵々相聞き、民のうゑ死致さゞる先に御恵み可有之事のよし  ○宰執当行の事 此條は執政職きゝんの歳のこゝろへ向をのべて、老中 家老などいへる人の取扱方のよし 一、執政職の義は、天の御咎め無之様、政事向調ひ候事、其職にて、きゝ  ん等有之事は、政事のいたし方あしき故の事と相心得、其民のうゑこゞ  え等は、皆己れがあやまちと存じ身をかけ救ひ方骨折可申事 一、飢きんは万民の生死に掛る故、人主へ申上候は、此節は格別の御つゝ  しみ可被遊、無益の御慰み事御費へ無之様、乍恐奉存候段、可申上事の  よし 一、古より国の滅亡いたし候は、多くきゝによる事にて、近くは明の亡ぶ  るは李自成と申、賊きゝんに乗じ叛逆いたし、遂に明を亡し候などゝ跡  方等申述、御身の御慎みは不及申、人民騒ぎ立申さぬ内、御取鎮め、武  事の御手当御念を可被入旨可言上事のよし 一 今年の年貢諸色運上向等、御ゆるべ有之候様、運上あつく御取立、諸  色高直に相成候へば、貧民しのぎ方悪敷候間、諸色をゆるべて民心をや  すんじ、他国等不致様、国の本なる民を固め候趣意を可申上事のよし 一、御救ひとして金銀被下方、御救ひ米等之仕様、夫々深思慮いたし存寄  書可差出事のよし 一、勘定奉行体の人、飢歳のすくひ方可致役に付、其才不才を択み、其向  々の役人邪正を吟味し、救ひ方行届候様可心掛事 一、此の節はうゑに迫り、命にもかゝり候事に付、下々の人情上に通じ不  申候へば、うらみもつゞき候事も可有之、不拠さはぎ立候事も可有之問、  各存寄あらば、申出べしよき了簡にて候へば、御用も可有之、時宜不相  当之義にても、格別御咎は無之旨、令を下し可申事のよし


人主
君主














苟且
(こうしょう)
その場限りで
あること









































李自成
1606−45
明末の農民反
乱指導者


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