Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.5

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その59

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第五 飢饉と教喩
   三 上下規戒解義 (3)

管理人註
  

 ○太守当行の事 此方にては大名或は郡奉行体の役なり 一、凶荒に相成候へば、兼て儲へ有之候常平倉の米高を吟味し、賑糶いた  し、高直なる米を下させ候事 一、兼て飢歳に備へ候義倉の米を以、難儀をすくひ可申事 一、一州一県の豊凶を上中下三段にわける手当あるべし、小荒には倉を開  き、救米を出し、物持どもへは親類を先とし、相応に施し致させ、中飢  の節は、専らすくひ米をあたへ、ゆすく米をうり出させ、大飢に及び候  へば、相互に憐むべき節をよく/\申喩し、施等致させべし、仁心深く  神妙に相働き候者へは、冠帯をも給り候、此方にては帯刀御免、或は格  式を被下候抔と申、振合に取計ひ、時之相場にて米御買上、安くうり出  させ候事 一、早労の様子に相見へ候へば、早速常平銭を遣し、手付の役人を出来宜  敷所へ差遣し、上中下三段の出来不出来を見て買米いたし、手当とす、  雑穀何にても飢をしのぐもの買入可申事 一、糶米をかくし置候ものは、重罪たるべき旨、屹度触なかすべき事 一、かい入米いたし候事は、たやすく相ならざる事候へども、難儀の国に  限り不苦旨触あるべし 一、支配所内役人共、一年中の諸入用有余不足をしらべ、其余はすくひに  可出、猶又不足候へば、買米を他国へ申遣べし 一、村方役人勤方なほざりに致候者は、役向御取上有之筈に候へども、右  の者都へ呼上せ、代り役人差遣候も、道中物入も掛り、彼是費も有之事  に付、可然添役を以補助致させ可申事、右も不便に候はゞ、他邑之賢才  ある役人に兼させ可申事 一、支配下役人へ申付、すくひ方存寄書差出させ候事 一、其場所々々に依、人気ならはしも有之事に付、差支へなき様に救ひ方  可致事 一、飢歳すくひの為、諸社へ代参を立、祈祷いたすべき事 一、他国よりさまよひ出候うゑ人を、あはれみ可申事 一、村方出来不出来を吟味いたし、年貢諸役ゆるし可遣筋は、日々取扱、  人気をやすんじ候事 一.飢民をすくふこと便利に委せ、川々普請堀ざらへ、城ぶしん、新田開  発等の類をいたさすべし 一、飢歳は時候もあしく、麁食をもいたし、極難儀に及び候へば、衣類を  も売尽し、寒さをもしのぎ兼、自然病人も多く候へば、医療の手当もね  んごろにいたし遣すべき事




儲(たくわ)へ




















振合
(ふりあい)
他とのつりあい










糶米
(ちょうまい)
米を売る


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