Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.6

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その60

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第五 飢饉と教喩
   三 上下規戒解義 (4)

管理人註
  

 ○守令当行の事 代官心得向なり 一、ひでりに相成候へば、山川の神氏神其他利益ある宮寺へ早くいのるべ  し、是は初発に民心を安堵さすのみちにて、此心を以て初より終までも、  誠心もて厚く取扱ひすれば、民そむかず、なまものじり、井戸がは三尺  の了簡のものは、迂遠無益の事と謗り候へども、是は人情時俗に通ぜざ  るものゝ申事なり 一、旱損場所何れより何れまでケ様々々と荒高巨細に申上べし 一、凶荒の様子吟味の上、上役へ早速申立べし、右によりて夫々御救方手  当ある事に候へば、さへぎりおさへ候事不宜、殊に太平の御代、災ある  事は格別に申さぬが、宜きなどゝ心得、大様に取扱候事、尤不宜 一、民のうゑにせまり候事は、火にやかれ、水に溺るゝよりも、すみやか  なるものに候へば、救方時刻をおくれ候ては、行だふれに相成、上の御  不徳に相成候間、一入早くすくひ可申事 一、飢渇の難を救ひ候事は、早速に申上べし、品により申達せずして、火  急に蔵を開き救ひ候事も不苦跡方も有之候事 一、村方囲ひ米早く開き、うゑざる先にすくひ遣すべし 一、困究場にては、其所の身上宜しき人、富める家々より救ひを出し候様  可談事 一、物持町人共は飢歳を見かけ、とかく〆売可致と存、囲置候事有之間、  よく申喩し、蔵を開かせ売出さすべし、品により身代をしらべ、たくは  へ高を吟味し、其身手当の外は出さすべし、様子により貸金、かし米を  もいたさすべし、返し方は主法あるべし、此方にては寛喜のきゝんに借  書の判形返し方等、北条泰時の取行はれし事あり、其外古例多し 一、他国の商人うりかひの事勝手にさすべし、是有無を通ずるの便利なれ  ばなり、糶米を禁ぜず、融通あしくなる事あり 一、米直段上げ下げ勝手にさすべし、余りきびしく禁有時は、かくして出  さぬ事有、是も時宜によるべし、取計ひは才能の人に存せり、かゝわる  べからず 一、飢歳救ひの儀大切の事に付、不行届、又は私事有之候ては相済ざる事、  御上へ申立、御吟味御役人下し被下候やふ可願事 一、支配下巡見の吟味役人等は、いさぎよきものをえらむべし、古き役人  のけがれたるもの、すくひの害になれば、新規にも択むべし 一、役人向扱方よしあし、夫々よく吟味すべし 一、格別に身を入れ骨折候役人をば褒美をとらせ、その余をはげますべし 一、きゝん年には夫婦わかれをもいたし、老人子供をもすて候事に付、父  母祖父母は申に不及、一類の交りあつく心掛宜しきものは、格別の褒美  をいたし、人の手本とし余人を励すべし 一、諸国よりさまよひ出たる貧民共、寒風にし吹さらされ、腹なれば、  力なくやつれかじけ、乞食となる事なれば、むさくして医師も格別骨折  ぬものなれば、格別の世話なければ、非命の死をいたす事有之候間、殊  更哀み麁略あるべからず 一、支配内出来宜しき所ありとも、みつぎ取立方ゆるめおき、売申まじき  事 一、村方にては農業せず、町方にては商売せざる無頼の悪少年どもは、早  く吟味し入牢すべし、又きゝんは多分豊年打つゞき、おごりに長じ、武  備を忘れ候時節にあるものなれば、万一さわぎ立候とも、甲冑の糸くさ  れてきれ/゛\になり、鉄弓長は或はさび、或は虫入、矢玉もたくはへ  少き事もあるものなれば、能吟味し、備あるべし










謗(そし)り













































寛喜
1229-1231







































(きょうふく)
空腹
 


『飢饉資料』(抄)目次/その59/その61

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