Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.7

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その61

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第五 飢饉と教喩
   四 四民規戒(同巻六八八頁以下) (1)

管理人註
  

  さむらひ  ○ 荒年には米穀高直故、武家は知行米払高宜候へば、金子は自然手 入多く候に付、兼てよりほしき品相求め、或はふしん物好の入用時節柄を も不弁、金子遣ひすて、或は衣服飲食におごり候等不心掛の至、人間のな さけしらすざるものなり、世上うゑ人有之候節、たとへ自分有余ありとも、 かゆすゝり、米をくひのばし、万一の節は救をいたし可申事に候、尤も出 来宜しき処にては、人の難儀は我身の様には不存、おごりの心さり兼、下 人に至る迄もかゆをくへば、はらのへりはやく、うまくなきもの抔ときら ひ、あしき下人は、主人を吝嗇などゝあしざまにのゝしり、主人もしいて 申付兼る事もあるべし、ケ様の節、天道をもわきまへず、時節柄をもしら ぬは、人のみちにそむき候、尤下人を多くつかひえやういたし、其身深宮 の内に生長する人は、自分の心掛はよけれども、孰ありて世上の難儀を告 ぐる人なければ、左程のうゑ死難儀ともしらずして、心にとめざるも有べ し、よく人に問ひて余りあらば、すくひを出すべし、武士の妻、昔しは土 著なれば、山に木こり、川にすなどり、いとくり、はたおる辛苦もみづか らいたし、百姓の作り、夏のあつさ、冬の夜なべ、粒々艱難に出たる事を も目に見てしり、酢・醤油・酒の作方もよくしりて、人の暮しのたやすか らぬ事をわきまへしる故、衣服飲食のおごりもせざれ共、今は大様は城下 の住居多ければ、辛苦をしらず、その家有余あれば、衣服飲食におごり、 或ひはその夫をせたげ、時好の衣服、くし・こうがひなど大金に買求、男 子武備の手当をうすくせしむ、笄簪はさし料の大小にすぎ、衣服は甲冑よ り貴きもありて、甚しきは、かぶき、歌うたひ、舞ふも有、夫たるもの道 を学ぱず、心掛あしければ、如此の風まゝあるよし、うゑ人多き節などは、 音曲歌舞を禁じて、天道をおそれ、人を哀み、けんやくを専らとし、武備 を心掛け。干城の道を尽すべし

せたげ(る)
せきたてる、
ひどい目にあ
わせる















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