Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.8

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その62

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第三章 飢饉の公的対策
 第五 飢饉と教喩
   四 四民規戒 (2)

管理人註
  

 ひゃくしやう  ○ 年荒の儀、人力の及びがたき所なれども、手当によりてうゑをし のぐべき事なり、旱年雨年にて、穀物あしく見え候へば、早く手当すべし、 ひでりに宜しきもの有、夫々気をきかせ作るべし、大根の葉、芋の葉まで もたくはふべし、米穀払底の節になり候へば、かゆをすゝり、さはぎ立申 さぬ様心掛べし、身上よき者は、所の御役人へ達施し差出し度旨願ひ出べ し、又相応の物持どもへは申合いたし、うすきかてかゆにて、永くしのぐ の致し方等、深切に心掛くべし、物持どもは、平生人にそねまれ、少しに ても無慈悲なる心掛ある時は、差て買込米かねもうけ不致とも、常々目を つけられ、少しの事もあしく申立、打こはし、悪名を立られ、子孫までの はぢとなり、家さかへ申さぬなり、こはし候ものも咎に行はれ、己も衰微 を招くなり、飢歳相互に恤み候事は、人の道なる事は申すに及ばず、積善 の家には余慶あるにて、其身も命ながく、禍ひなく、子孫も繁昌するなり、 己れ蔵数多く、米穀金銀沢山に握りつめ候とも、象内にて残らず用ふべき にもあらず、一升の飯、一升の酒、一度に飲くひすべきにもあらず大家と ても座する処は三尺に過ず、衣類も一枚一度にきるべきにもあらず、欲も ほどをしるべし、人の命にかゝり候節、すくひ候はゞ、其所にて永く尊敬 いたし申伝へ、人々忘れ申まじく候、子孫の繁昌を求るは是にまさること なく、天へのつとめ、上への御奉公にて候


恤(あわれ)み



積善
(せきぜん)
祖先の善行に
よって子孫が
得る幸運














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