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の のあざみ 菊科小薊
  原野路傍に生ず、葉は欠刻多くして縁刺あり、冬は地に搨し、春藁を抽
 き、枝を分つ毛茸あり、四五月粉紫色の花を開く、又深紫紅白等多種あり、
 或は園に栽えて花を賞す、冬春の際生草に乏しきを以て、村民此苗を採り
 搗きて牛馬に飼ふ、又此根は塩蔵して食す
  一種「やまあざみ」漢名大薊亦品種多し、山中に自生す、高五六尺に至
 り、秋月花を着く、箱根山民は此根を煮て食す、其味牛旁の如しと、凡薊
 類は葉に刺あれども、春夏の交嫩茎を採り食ふ、亦赦荒の一に備ふべし
  のびる 百合科 山蒜 弥比留(延喜式) のゝひる(勢州、江州、信
     州)ちもと(仙台) ひるこ、あさづき(岩代、会津) ねんぶ
     り(加州)
  山野及荒蕪地に生す、葱類にして最細弱なり、臭気亦葱の如く、数葉互
 生す、夏月茎を抽く、一二尺茎頭に数花を攅簇し、披針状六弁白色にして
 微紫を帯ふ、又半間に紫黒色の珠塊を簇生す、地に落て能く自生す、春月
 民苗根を連ねて生にて食す、又熟根の節根茎共に抜採り乾し貯ふ
 
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搨(うつ)し
交嫩
(こうどん)
攅簇
(さんそう)
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