こ こもつの 禾木科 まこも、はなかつみ
菰の芽にして凶歳の時に採りて糧とすへし、 熟し、味噌醤油に て食
す、又実を採りて舂きて粉となし、米麦に合せ、粥に煎じて之を食ふべし
あ あまな 百合科 山慈姑、老鴉弁 とうろうばな、へらひる、あまいも、
なんきんすいせん、はるひ めゆり(西京) まつばゆり、む
きくわい(濃州) すっぽう(筑前) うぐひす(摂州) く
わゐ(豊前) かたすみら(肥後)
郊外向陽の地、又麦隴中に多し、其葉は綿棗児に類似し、粉緑色にして
直立せず斜に垂る、其一葉を出すもの嫩根にして花なく、二葉を出すもの
は葉間より一二花梗を抽き、高三四寸許梗頭に細小葉二三を対生し、上に
一花を着け、其肥地に生するものは二三花を着く、太さ七八分、六弁白色
にして紫色の線條あり、又日光中禅寺、北海道の産には、梗梢に四五細梗
を分ち、花を着くるものあり、此草数種あれども、後ち鈍三角の実を結び、
(ママ)
五月に至り苗枯る根は円にして外皮黒く内竭色又白色綿の如き皮ありて、
白き毯根を包めり、根を擣きて水飛し、澱粉を取り「かたくり」に代へ、
湯に煉り、不食の病人に食せしむ、又此の根を 食ふも味佳也、山家の児
童好みて堀り食ふ、漢国にても又之を食するの説あり
あしつの 禾木科 芦苟 よしのめ
よしの芽にして春月の土を堀りて、採る肉厚くして柔かなり、他種にす
くれ、美味にして調食すへし、又生にて て食ふもよし、水中より初めて
生ずるもの佳とす
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