Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.10.14

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その78

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(4)

管理人註
  

  はちじやうさう 繖形科 鹹草 あした、あいた(八丈) あしだば、           とうだいにんじん、あしたま(熊野) ぶやき(遠州)   八丈島産を以て有名とす、但し諸国瀕海に産すれども、土人多くは其食  用となすを知らず、独り八丈島にては高二三尺形ち人参に似たり、冬も枯  れず、四季共葉を生ず、専ら此葉を穀類に交せ糧とす、又根茎も煮て食、  亦一種海浜に産する、「おにうど」と呼ぶものあり、形状此草に相似たり、  但し八丈草は之を切れば黄汁出、「おにうど」は白汁出づ、此汁毒ありと  云ふ   はなごけ 地衣科 石蕊 しらごけ   山中土石上に四時叢生す、高さ三四寸、深山のものは五六寸に及ぶ、白  色にして枝又細分す、煮て醋味噌に和し食ふ、漢土にては湯に浸して服し、  或は咀嚼し、以て茗に代ふ、所謂蒙頂茶也、加州白山に産ずる一種は、形  稍前者に似て長く、其色潔白なり、山民食用とす。方言「こほる苔」と云  ふ   はないかだ 花筏科 青莢葉 まゝつこ(信州) まゝこぎ(野州)          まゝのき(日光) ちばみのき、ちはのきこづゝ(東濃)         いほな(江州、佐渡) はもゝ(紀州) はこのき(熊野)         うらは(いはは)(和州) つきでのき(豊前、豊後)   此落葉潅木は高五六尺、枝條緑色、葉形尖頭楕円、鋸縁をなし、稍厚く  柔かにして面背ともに光沢あり、互生して茎上に攅生す、穀両の後葉、面  の中心に淡緑四弁の花を着け、結実黒熟す、斯の如く葉上に花実を着くる  や、他の草木に比すれば、其状頗る奇なり、此樹雌雄あり、城川、叡山、  鞍馬、嵐山、武州、王子、滝野川、其他諸国山麓に多し、士民此嫩葉を蔬  となす、日光、佐渡、大和、肥後、豊前等にては、糧となす、又葉をみ、  簸揚して葉柄をとり、乾し貯へて、以て備荒の料となす   はす 睡蓮科 蓮   蓮は世人の知る所なれば解せず、嫩葉はきて粮とす、根は搗き砕き、  汁をとり、水飛し、蔭乾にして餌とす、但根を煮る時は鉄鍋を忌む、銅  器を用ふべし、醋を少し加へて煮れば、黒色に変ぜず、又実も搗き、砕き  て米に和し、粥又は飯に雑へ食す、亦米粉を加へ餅餌となすもよし   はぎ 科 胡枝花 胡枝子 鹿鳴草 芳宣草   原野に生す、二種あり、葉形大小ありて、大葉なるものは、黒大豆葉に  似たり、小葉なる者は茎著草に類し、葉蓿に似て長く、花色紫白ありて、  結実粟粒大の如し、採実微舂けば米と成る、先冷水にて淘浄して食ふべし、  又嫩葉を採り、蒸水茶となし、飲むも可也

 


『飢饉資料』(抄)目次/その77/その79

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