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ほ ほふづき  茄科 酸漿
  酸漿は龍葵と一類、二種なり、又酸漿は苦 と一種二物也、只大なるを
                   ナメクサ
 酸漿とす、小なる者を苦 とす、又別に販醤と名く、又苦 と名く、其の
 龍葵酸漿一様也、此嫩葉を き、浸水苦味を去り食すべし
へ べにばな 菊科 紅花 くれなゐ、くれのあゐ(和名鈔) 末摘花(源
       氏物語) 紅藍花
  此花普通燕脂を製するに栽培す、葉に薊の如き硬刺多し、嫩葉は食用と
 なして佳味なり、漢土にても「苗亦可食」と云ひて紅花菜の名あり
と とろゝあふひ 錦葵科 洋種
  此葵は文久二年始めて舶齎せる洋種にして、葉形大に分裂し、五尖あり、
          ト ロ ロ
 鋸縁をなす、其花黄蜀葵に似たり、後凾結ぶ、長大にして形角の如く直
 なり、中に黒子あり下種して生じ易し、此凾フ尚嫩なるとき、煮て食へば
 佳味なり、西洋にても食用に供す、胡椒と食塩を調和し、牛乳を以て煮て
 食ふ、又細にき み、羮に和すれば粘滑にして頗佳也
  どろふ 喬木 白楊木 まるはやなき、どろ
  山林に生ず、木身揚に似て白き故に白揚と名く、大葉円く、梨の葉に似
 たり、木肌細白性堅直梁 に用ひて撓曲せず、其根繁り易し、風纔々に至
 れば、葉動て大雨の声の如し、此嫩葉を て食ふ
ち ちしばり 菊科 剪刀股 つちあふひ、あをひからくさ、翠雲草
  田野に生す、地に搨して蔓延す、苗葉嫩き苦苣菜に似て、細小、頗る青
 し、淡黄花を開く、葉味苦し、嫩葉を採り、 て苦味を去り食す
 
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酸漿
(かがち)
ほおずき
 (や)き
羮
(あつもの)
搨(うつ)して
嫩(わか)き
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