Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.10.22

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その80

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(6)

管理人註
  

 りやうぶ 石南科 山茶科 はたつもり(今古集、夫木鈔) べうふ        (江州、木曾)ゆきふちりやうぼふ、りやうぼふ、りやうぼ        くうぼく(勢州、日光) りうごう(芸州) ぎやうぶな        (紀州) はなえのき、ひやうふさる(信州) さるはき        (石城) うまつゝじ(武州川越)   此樹は諸国山中に多く産す、葉雨尖楕円にして、脚狭く、鋸縁をなし、  稍頭に長穂を出して下垂す、其状形珠の菜の花の如し、七月五弁小白花を  開く、山民此嫩葉を摘み糧とす、又乾燥して貯ふもよし、一種小葉のもの  なり   歌書には令法と書す、又糧補と書とも云り、又はたつもりとは古名なり   夫木集     里人や 若葉つむらん はたつもり        深山も今は はるめきにけり    衣笠大臣   新撰六帖     令法に 積りし雪も 消ぬれば       賤かすさみに 若葉つむらん     信 実     今よりは 木のめも春の 令法は       時来にけりと 人や尋ねん      知 家  おほばこ 車前科 車前 をんばこかいるは   諸国道傍に多し、此草普く諸人の熟知す、故に弁解せす、大小葉狭、葉  数品ありて、形状稍異なるものあり、其穂を分つものを「ほうきおばこ」  といふ  をとこめし 敗醤科 敗醤一種白花 をとこへし、おほとら、とちな(信        州、江州) しろな、男郎花(勢州) ゆつたら(北海道)   ヲミナへシ   敗醤の別種にして、其稍肥大に且つ白花を着く、諸国山野に多し、嫩葉  及び苗をきて糧となす   をとこよもき 菊科 牡蕎  とよぎ(越後) よもきから(江州)           ごき(参州) ごきよう(熊野) べつけのや(北海道)   諸国原野に多し、春時宿根より生し、葉脚狭く、頭濶くして、裂欠あり、                             カハラヒムキ  秋月茎を抽き、高さ三二尺、枝を分ちて穂をなし、花を綴る、茵に似て  稍粗なり、漢説に嫩なる時食ふべしとあり   をみなへし 敗醤科 女郎花   山野に生す、高三四尺、茎に稜あり、尚の茎に似たり、枝両々対生し、  節際に葉を生じ、又対生し、其葉三七、及び前胡菜に似て細長く、八月出  穂開花、黄色なり、春嫩茎を採り、て糧とす  わすれくさ 百合科 萱草 くわんさう、やぶくわんそう、おにのしと         くさ、ひるなうしな(木曾)   原野に多し、長葉は叢生し、夏月長茎を抽て花を開く、黄赤色にして、  単葉千葉あり、漢土にては此花を陰乾し、食用となす、金針菜と呼ぶ、嫩  葉は山民食用となす、醋味噌となして佳味也






















令法
(りょうほう)
リョウブ科の
落葉小高木





















車前
(しゃぜん)








敗醤
(はいしょう)
オミナエシ
または
オトコエシの
漢名












濶(ひろ)く

















(や)き


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