Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.10.23

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その81

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(7)

管理人註
  

 かはらけつめい 荳科 山扁豆 をはりけつめい、びんざゝら、きつね           のびんざゝら(東京) きつねのさゝら(参州) か           はらちや(相州足柄) くさちや(同上豊前) から           すまめ(紀州) よろびつ(越後)   諸国原野、殊に河原に自生し、一年草にして多く枝を分ち、長尺許葉形  合萌葉に似て稍細くなり、茎中堅実にして合萌の中空なるに異り、且合萌  は水田中に直立すれども、此草は然らずして多く四傍に枝を出し、秋月葉  腋に豆様の黄花を開き、後莢を結ぶ、寒露の候、裂けて其の子迸飛す、紫  黒にして硬し、和方に比の実を煎服して利水の功ありと云ふ、又此草の茎  葉花実共に刈取、日に乾し、後少しく炙りて茶に代用すれば、香気ありて  味甚だ佳し、故に諸国其の自生を採り、且つ圃に下種し、培養して茶に代  へ、常に用ゆ、此草原野に繁茂す、民用に益あり   かまつた 薔薇科 なつき、うしのはなき、いはなし(豊前) ことる        しね(北海道)   諸国山林に生す、落葉潅木、高六尺余、桑靱にして折れ難し、鎌の柄と  なすべし、又牛の鼻拳とすへし、枝葉互生し、葉は倒卯円形尖頂鋸縁をな  し、四月枝梢の葉腋より、花梗を抽き、小花梗を分ち、五弁の白花攅簇す、  形山櫨花に似て少く、後微楕円の実を結ぶ、形稍小豆に似たり、小児採り  て食ふ、味淡、甘此嫩葉を採り、糧とす   がま 天南星科 香蒲 しみくさ(古歌) ひらがま、かば、あかま      (越中) 狐蝋燭(沖縄) しきな(北海道)   諸国池沢に多し、葉長さ五六尺、幅八九分、少しく背あり、厚くして柔  なり、編みて蒲蓆とす、夏月円茎を抽き、頂に茶褐色の穂を着け、長七八  尺許りに及ぶ、其の状、蝋燭に似たり、之を以て綿に代へ、蒲綿と称し、  衣服夜具に入るゝものあり、又糸に交ぜ織る法もあり、春初、其の嫩葉出  る頃、其白蒻を採り、生にて食ふも甘脆なり、又醋に浸して、筍の如く製  して食するも味美也、即周礼の所謂蒲俎にして、又きて食ひ、又晒乾し  たる上、磨米して餅に作るべし、詩の大雅に其伊筍及蒲と云へるも是な  り、以上諸説の如く、漢土にては多く食料とせり、本邦にては、此草有用  少からず   かうもりそう 菊科 かはほりな、さんかくな(木曾) かわもつそう          (日光) をほたかくさ、かんたいな(南部) すみあ           ふひ、ほうな(仙台、松前) べこつく(北海道)   深山陰地に多し、春宿根より生ず、茎高二三尺、其の肥大なるものは五           (左右か)  六尺、葉形偏くして右右と頂とに尖りて、頗る蝙蝠に似たり、故に此名あ  り、或は葉の形数種あり、又「かにかうもり」「ゑふすま」「つたへば」                        ハ ク マ  等の諸品あり、秋に至り茎の上に小梗を分ち、鬼督郵類の小白花を開く、  山民嫩葉をき食す

山櫨
(やまはぜ)











蒲蓆
(がまむしろ)






甘脆
(かんぜい)
うまくて歯ぎ
れがよい

































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