Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.10.27

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その84

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(10)

管理人註
  

 つりがねにんじん 桔梗科 沙参 つりがねさう、しやくしな(信州)            らやうちんはな(ふくろはな)(会津)   向陽の山野に多く自生し、初生の葉は心臓形にして鋸葉あり、其形に因  りてしやくしなと云ふ、其茎に着く葉は楕円、或は狭長ならず、互生対生、  或は三五葉相対じ、之を揉めば白汁出す、秋月薹を起して、枝を分ちて淡  紫色の花開く、又白花あり、一二寸、形鈴鐸の如く下垂す、此葉は食用と  すべし、日光、木曾、其他山民根を掘りき打砕き、煮食す、又薬用にな  す時は沙参と云ふ   つは 菊科 吾 つはぶき、やまぶさ(伯州)   諸国海浜、又人家、庭園、石垣に生ず、葉形苳に似て小蔓を生す、葉  なく暗緑にして光沢あり、常緑品とす、霜後立冬の候、梗を抽き、菊科の  黄花開く、幽致愛すへし、国薬須知云、諸毒殊に魚毒を解す、河豚に宜し、  熱腫瘡に生葉を搗砕き、或は折腸打撲腫痛に験ありと云ふ、或は此茎を  水に浸し、其臭気を脱切りて白糖にて煮貯へ食ふものあり、民多く此茎を  採り、其皮を去り、煮て水に浸し、苦味を去り、再煮食し、或は塩蔵す、  又はき乾燥し、貯へて糧となす、但有毒、草木図説には砂糖と同食すへ  からすとあり   つるむらさき 落葉科 落葵 からあふひ(輔仁本草)   此蔓草は春月下種し、人家垣籬に纏はしむ、山野に自生なし、葉は互生  し、心臓形にして厚く淡緑光沢あり、葉腋に一梗を出し、図小花を綴る、  初白く後暈を帯ひ頂僅に綻ひて、後実を結ふ、扁円三分許熱して紫色、此  汁にて物を染むれば、深紫色にして美なり、尾州熱田辺にては多く栽培し、  紫汁を採り、桶に入れ、勢州に送りて絨の染料となす、葉柔滑食糧とす、  蘇東坡の詩に豊湖有藤菜但可敵羮の句あり、藤菜は落葵の一名也   つくづくし 木賊科 筆頭 つくし 土筆筆頭菜   此草杉菜の側に生す、尚蕗姑、茗荷、筍の如し、春土より出ず、状ち筆  頭の如し、黄緑細絞あり、茎黄色、節あり、節の上に皮を着く、高三四寸、  茎をきて、し食す、微く松の香あり、夏に至り、筆頭綻び、高尺許に  至りて枯凋す    左保姫の 筆かとぞ見る つくつくし         雪かきわくる 春のけしきを       為家


沙参
(しゃじん)







(とう)


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