け けんぼのなし 鼠李科 枳 てんふくなし(会津)
木綱此木を名白石木(一名金鈎木、柳 木、交加枝)生南地、高四五丈、
葉円大、如桑柘、夏月開花、頭結実如 瓜形、長寸許紐曲作二三岐儼若
之足、嫩時色糸霜乃黄噛之味甘、如密毎開岐尽処に結、一二小子状如蔓荊
子有、扁核赤色、如酸棗仁形飛鳥喜巣、其上春秧を 粮とす、又実は蜂密
に等ふし(枝葉煎膏亦同)能解酒毒、若以此木為柱則屋中之酒皆薄し、用
此木誤落一片入酒甕中、酒化而為水也
ふ ふゆあふひ 錦葵科 冬葵
嫩葉を食用とす、春蒔けば蔬となし、四季共絶えず食ふべし、味亦佳也、
又一種「おかのり」は葉大にして周辺皺あり、花実は冬葵に同じ、此葉を
採り、日乾となし、少し炙り揉みて末となし、羮に撒して食ふ、味は乾海
苔に似たり、故に「おかのり」と呼ふ、又此葉をして炙り、豆油を撒して
食ふも佳なり
ふぢ 荳科 紫藤 布知(和名) むらさくさ(古歌)
山林に自生し、人家庭園にも多く栽えて花を賞す、形状は世人の知る所
なれば茲に解かず、此嫩葉を蔬となし、又飯に雑へて食ひ、或は山人茶に
代用す、花又食ふへし、藤花菜と称す、 き絞きて醋味噌にて食ふ、漢土
にては此花半開のものを塩湯に浸し、甑桶に入れ、蒸して晒乾し、貯へて
食用とす、又酒酔を解すと云ふ、又此実を取り、炙り食す、味栗に似たり、
且野州馬鹿沼辺にては此嫩葉を汲採り、腐熟せしめ、麻の肥料とす
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