Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.11.2

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その90

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(16)

管理人註
  

 こあかそ 蕁麻科 きあかそ、あかにく、山蕎麦、くさかる、をばくさ、        をろ(越後)   諸国の山野到る所に自生し、葉は対生し、形蕁の如く、一二寸の柄を有  し、縁欠刻及び鋸歯ありて、三條の葉脉著しく葉蕎麦に似て赤く、普通一  尺より二尺に達し、最長きは三尺に至るものあり、花は夏期二三寸の細長  き花梗を出し、淡黄色の小微花を開き、雌雄花梗を別にして、初秋種子を  結ぶ、其形先尖也、此草今を距る六七年、救荒植物として最も適切なるこ  とを発見したるものにして、該発見者中島佐助氏の語る所によれば、枯死  せざるものを採り、一旦湯に通して、能く乾して粉となし、蕎麦粉、米粉  等を加へて団子餅等となして食するものなり、此生草一貫目を以て粉一斗  を調整し得らるゝ割合にして、之に澱粉類三分の一を雑へ、食用に供する  時は、能く三人の露命一日を支ふるに足るべく、岐阜県下原地方に於ては、  両三年前より日に十荷位宛採集して、之を調製し、補食となし居るとの事  なり、又此植物に附、福島県庁に於て特に調査せられ、凶歳に適切なるこ  とを確められたり  あをだちわら 禾木科 青稲茎   青立の藁を刻み、葉を吹飛し去り、其藁を臼にてよくつき、水を入れ、  念入つきて水嚢にて通し、鍋にてせんじかため候へば、一束のわらより五  合出づ、味誠に甘く砂糖の如し、右へ粮を入、煉合て食糧に甚よろし、又  其根株を洗ひて粉となし、団子とし、食してもよし   あをだまのき 科 つべたぎ、じな(江州) やにぎ(筑波山)           あをはだ(濃州) ほやかむり、やまむしかり(甲州)   落葉潅木にして高六十七尺、諸国山林に自生す、枝葉互生し、葉形尖頭  卵円細鋸縁をなし、皴みて大小均しからす、五月梢上の嫩葉に複梗穂状を  なし、五裂小白花攅簇し、多雄蘂白糸黄葯ありて、花外に出つ、後小楕円  の実を結ひ、熟して天塩色となり、小毒あり、此嫩葉は尾濃等の山民採り  て食用とす、一種花葉の形甚相似て、其実黒熟するものあり、「みつあふ  ひ」「なつゆき」「むしかり」と呼ぶ、食用となすべからず   あかざ 藜科 藜菜   原野に生す、即灰之紅心者、茎葉稍大嫩時可食、老葉は小虫多し、食  ふべからず、三四月頃嫩苗七八寸採り、煮て粮とす、柔くて味美也

皴(しわ)みて

























『飢饉資料』(抄)目次/その89/その91

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