Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.11.4

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その92

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(18)

管理人註
  

 きのり 地衣科 樹衣   越前岩代等の深山嶺上、大樹の枝上に生ず、「きのり」は会津地方の方          コ ケ  言なり、形稍白龍鬚にて灰色なり、山民春雪上より採りて胡桃、豆腐等に  和し、となし食す、味淡泊、頗る海藻の如し   きつねのあざみ 菊科 ひめあざみ(参州) じよろふあざみ 薫蒿   諸国野生多し、春苗を生じ、葉地附き粗々蒲公英に似て小く、較々あつ  く欠刻多く、又薊類に似て軟なり、其面深緑色にして、背に白毛多く、刺  なし、高二三尺、略薊類に相似て花も小し、又白花もあり、花後絮となり、  飛散す、此苗葉は凶歳の糧とす   ぎぼうし 百合科 紫萼 いはた(勢州) あまな(越後) くるいは        (岩代、木曾) うるみな(濃州) なもう(羽州)        うくるきな(北海道)   諸国山中に多く生じ、又人家庭園に栽るもの「たうぎぼうし」「たまの  かんさし」其他数品あれども、山民の食用となすもの尋常の品にして、葉  形尖頭円、其柄長く、葉間より梗を抽き、数花を綴る、形鐘状花冠六裂、  各披針様をなし、反張す、紫花白花あ り、此嫩葉を摘み、食用とす、陸中及び会津地方にて、六月此葉を採りき、  乾燥し、貯へ糧となし、又日光、甲州、会津にては此茎をき裂き、乾し、  山干瓢と称ひ、再ひ煮て食す   きくいも 菊科 いちしやういも              ヒ マ ワ リ   尋常の芋の属にあらず、向日葵の一種にして菊科に属するを以てきくい  もの名あり、僅かに其一顆を栽うるのみにして、一升の多きを得るに至る、  故に又一升芋の名あり、米国ブラジリーに自生し、海外諸国に遍の伝植せ  り、我国に於ては横浜開港後、在留の洋客携来りて栽培し、食料とせしよ  り、伝習するものとす、茎高五六尺多く枝を分ち、葉形楕円にして渋す、  秋月菊科の黄色を着く、塊根多く、攅簇して磽卑湿の別なく、能く繁殖  す、単に此根を煮食すれば、其味淡泊なれども、魚肉或は油等と共に煮  れば、其美味なること、他の蔬菜の比にあらず、又酢醤油に浸し、或は  食ふに宜し、又焼酎を製すべしといふ、且嫩葉は粮となる、又澱粉をと  り(臼にて搗き製す)、小麦粉を混和し、煉て「ヒスケツト」を造りても  よろし、故に畑にかゝわらず、畦畔或は間地に常に多く植置くべし


(わた)











































磽
磽か
(こうかく、
ぎょうかく)
地味がやせた土地






畦畔
(けいはん)
耕地間の境、
あぜ



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