ひ ひめあざみ 菊科 苦笑 かまな、かみおこしな(古名)
とちな(加州) へらあざみ
山野に自生す、宿根叢生し、葉形長楕円にして、鋸歯微なり、其辺縁の
刺は他の薊より柔なるを以て村民嫩葉を食ふ、故に「なあさみ」の名あり
ひめたびらこ だひらこ(大和本草)(美濃) こおにたびらこ
(飯沼草木図説)
路傍田圃に生ず、形「やぶたびらこ」に似て小なり、其茎直立せず、二
三五茎を抽き、黄花を着く、亦黄鳥菜の如くにして小なり、美濃等の村民
凶歳に採りて食ふ、其他黄鳥菜の類は「いぬたひらこ」と呼ぶ、食用とな
さず
ひやくぶ 天門冬科 百部 野天門冬 ほとつら
蔓草而天門冬の類也、春生苗蔓をなす、葉大而尖長、頗る竹葉に似て、葉
面青し、又一種細葉茴香の如き者あり、其茎青肥嫩時煮て食ふへし、其根
尺に近し、新時肥実なり、但し乾く時は処痩脂潤なし、根の下一撮十五六
枚、黄白色、其他之者百十連属して部五の如し、設に名とす、此汁を採り、
衣を浣ふ時は、潔白となる、p角、 水に勝る、仍て虱子生すずといふ
も もみちさう 菊科 しどけ(青森、宮城) しゝぐさ(伊吹)
めしなしんつき(美濃) とうきちそばな(木曾)
やはそば(常州筑波山) いまんだののぼり(北海道)
濃州神関、木曾贄川、熊野、伊吹、其外諸国深山陰地に多し、円茎を抽
く、一二尺、葉形は槭樹の如く、浅緑色にして互生す、夏月茎梢に穂をな
し、鬼督郵類の花を着く、頗る「たいみんかさ」に似たり、諸国山民此嫩
葉苗を食用とす、秋田にては園圃に栽う、盛岡、函館にては、市上に鬻ぐ
と云ふ、木曾山民の言に、昔時藤吉といふ者あり、時々黄疸を患ひしが、
毎々此草を き食ひて、能く自ら治し、爾後同病の徒、多く此草を以て其
病を治するといふ、故に「とうのき」の方言あり、之を き、胡麻醤油に
浸し、食へば味少しく苦味あれども、頗る美なりと云ふ、又此草を馬に秣
くは、其馬駿壮なりと云ふ
せ ぜにあふひ 錦葉科 錦菜
花葉蜀葵より小くして、花色淡紅、純白等あり、亦嫩葉を き食す
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