Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.1.29.

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大塩の乱関係論文集目次


『青 天 霹 靂 史』

その9

島本仲道編

今橋巌 1887刊 より

◇禁転載◇

時に日正に哺時なるを以て、善右衛門は、命じて午餐を饗せしめんとす、平八郎乃ち之を止め、曰く、

吾れに家禄あり、故なく人に食むべからす、是以て予め行厨を備ヘたり、吾子其れ之を措け、

と腰間より握飯に梅干を添たる者を出して之に示し、以て一碗の茶を得ん事を請ふ、善右衛門曰く

然らば則ち厨に蘿葡の羮あり、今正に熟すと云ふ、之を饗するは如何、

平八郎曰く、

厚意一碗の羮を啜るも不可なかるベし、

と、因て善右衛門は蘿葡羮を饗して、己も亦之に陪食す、

食畢るの後、平八郎は不日にして、又復た相見んことを約して之を去り、三井平野等十有余家に過ぎり語るに、善右衛門に説く所あるを以て其事を聞き、大に尽力せられん事を請ふの数言を以てして帰家したり、

寔に平八郎善右衛門の家に至るの談の如きは、平八郎が身を持するの清白にして、善右衛門が家を守るになるを知るに足て、後世に至るまで、其風采を追慕せしむる者あるなり、


『青天霹靂史』目次/その8/その10

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