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大塩の乱関係史料集目次

○大坂御代官より御届書の写

大坂表徒党之者及乱妨候趣申上候書付

　　　　　　　　　　　　　　　　　　根本善右衛門

大坂町奉行元組与力、大塩平八郎徒党を結び、当月十九日朝五ツ時過、町奉行与力同心天満組屋敷并市中共火矢并鉄砲打立、及乱妨候始末、左に申上候

大塩平八郎当酉四十五六歳に相成、学問武術共相応に仕、勤仕之砌、重掛り相勤、既に先年大坂表切支丹一件吟味取扱、当地竝近国にても高名之者に有之、遠方にも門人有之、学問之師範仕罷在候由、

然る処、去申年違作にて、米価高直に付、窮民及難渋候間、所持之書籍売払、凡人数一万人へ金一朱づゝ相施し候段、世話方本屋共より市中近在へ引札を配り、去月下旬より追々金子相渡候由、此度徒党之節、百姓共歩人足に罷出候者、又ハ他領他支配とも内探り仕候処、又々平八郎より施行相渡、或は砂持有之候間、為働可罷越旨、守口村幸右衛門、般若寺村忠兵衛、沢上村与右衛門等百姓兵をすぐり立、申進めに従ひ罷越候処、門内に〆込、鉄砲白刃を振廻し候に付、恐怖仕、無拠歩人足に被使候儀と相聞え申候、

当月十九日朝五ツ時頃、跡部山城守より手代呼出し候上、天満にて徒党を企有之候者も加り候様相聞候間右取鎮方手配可致旨、御達御座候に付、早速私儀、手附手代足軽等召連候て、弓鉄砲用意の上出張仕候処、天満橋詰にて与力同心共鎗鉄砲にて相固め罷在候、

東成郡河部村百姓共相加候趣相聞候間、淀川堤搦手へ相廻り、裏手立切侯方、可然奉存中野村迄出張有之、村々取鎮、且如何敷者召取之手配申付、手附手代共差出、且徒党の者共儀、旗押立、甲冑を帯し、大小の鉄砲白刃鎗長刀を携へ（本文徒党之者備立の儀、召捕に相成候平八郎若徒(党？)林太夫申口并見受候由にて、荒増の書付ハ、以別紙入御覧候）追々 市中放火の上、大坂難波橋を渡り、今橋通鴻池善右衛門、米屋平右衛門、高麗橋三井店々放火及乱妨、淡路町辻合にて、町奉行所並御定番組の者召捕追詰打払打留候も有之、右場所に具足櫃一ツ、車台百目筒三挺、火矢並小筒三十挺程、鎗長刀合薬革籠入三十箇、兵粮長持等捨置、 徒党の者共迯去候由尤火勢の儀ハ、烈敷有之爰に於て立騒及乱妨候趣も相聞不申候間、猶取鎮方申付、手附手代共差向、私儀ハ、一ト先御役宅へ引候て、猶又夜中も市中見廻り、仕上の方中国四国同役共へ、徒党の者共迯去可申哉に付、召捕方手配の儀、及通達、翌二十日に至りても、火先数口に相成、鎮火に不相成候間、御目附中川半左衛門申合、私儀、村々人足召連、市中消防可致旨、御城代より御達御座候に付、即刻手付手代並村々人数召連、町火消一同市中所々消防相働き候処、次第に火先数口に相成、追々増人数差出、所々消留、同日夜四ツ半時頃、御弓町にて鎮火に相成、御城代御別条無御座、且徒党の者共、淡路町より迯去候儘にて、其後及乱妨候儀ハ無御座候、

但し市中類焼町数十ケ町余の由相聞候、依之類焼の摺物一枚差上候

徒党に相加り候松平伊豆守殿領分摂州森小路村医師横山文哉其外掛合の者共廿人余私手にて召捕、則別紙申上候

○町奉行跡部山城守組与力隠居大塩平八郎
○同断同格之助
○（自滅之由）同断瀬田済之助
○（打取候由）同断小泉淵次郎
○（召捕に相成候由）同心吉見九郎右衛門
○同渡辺良右衛門
○（自殺之由）近藤梶九郎
○庄司儀右衛門
○（先達て出奔の由）河合郷右衛門
○（玉造与力の由）大井正一郎
○小堀主税支配所摂州守口村幸右衛門
○（召捕に相成候由）土井大炊頭殿領分河州真々間村郡治
○（自訴仕候よし）三平
○永井大之進知行所河州尊円寺村才次郎
○（右兄）治兵衛
○江州周次
○池田岩之丞支配所摂州谷在村忠兵衛
○（召捕候由）自衛門
○（同断）伝七
○右同人支配所摂州沢上村幸太郎
○所不相知半助
○同断岩蔵
○松平伊豆守殿領分同国森小路村（召捕に相成）横山文哉
○平八郎若徒（召捕に相成候由）松本林太夫 
○身元不相知今井弓太郎
○摂州加東郡堀井儀三郎
○土井大炊頭殿領分九右衛門
○河州真々間村左兵衛
○勢州山田（召捕に相成）安田図書
○同断西村利三郎
○小堀主税支配所外入会摂州吹田村（自殺のよし）宮脇志摩
○小八
○七助
○大坂久太郎町判木師
○江ノ子島（大工）金助

右之外に徒党に加り候者も可有之御座候得共、名前相分不申候、尤掛り合の者共多人数有之諸向にて、夫々召捕、或ハ手当申付候由に御座候

吹田村西の庄神主宮脇志摩儀、去十九日具足櫃鎗竹鎗等為持、人数十七八人にて平八郎方へ駈付、翌日夕刻帰宅仕候処、廿一日に至り尼ケ崎手勢為召捕向候に付、志摩儀切腹仕候に付、捕 方の者見届、切腹仕候段、天晴の旨申之引取候、跡にて母を鎗にて突通し、村内百姓清左衛門に手疵為負迯去由、途中行倒れ相果候由に御坐候、

彦根家老権太夫悴の由にて、宇津半兵次(宇津木敬治)と申者、当月十八日迄平八郎方に罷在候由之処、平八郎に致諌言候に付、致殺害候と申聞にて一定仕候

召捕手配之儀、町奉行所は勿論、諸向厳密に御座候得共、未同類之内、多分行衛相知れ不申候、

右者風聞の趣、早速申上候間、相違之儀も可有之候得共、予め書面之通御坐候、依之為御内含此段申上候以上

　　　　　酉二月