Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.2.7

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大塩の乱関係論文集目次


「大塩中斎」

その32

高瀬武次郎 (1868−1950)

『日本之陽明学』榊原文盛堂 改訂 1907 所収


◇禁転載◇


 学説(18)
  第四綱領―一死生(2)
管理人註

英雄と生 死

今中斎は其五綱領の第四に一死生を置けるは、動かすべから ざる順序なり。既に積極的方法に依て良知を致し、消極的方 法に依て、気質を変化し、帰太虚の功を成就したれば、我己 に太虚に合体せば、太虚元と生もなく死もなし、故に吾亦死            ハ テ   ニ   ヨリ ル      ヲ   シテ 生一なり。彼曰く、英傑当大事。固忘禍福生死。而事適々 レハ  チ   ハ フ      ニ     リテハ          ニ  チ 成。則亦或惑禍福生死矣。至学問精熟之君子則一也」と。 而して学問精熟の四字は軽々看過すへからざるものあり。中 斎が死生一貫の観念は、学理を尽して了得したるものなれば、 久きに亘りて変はることなし、彼は朱子の語をを引きて曰く、    ク   レ    ノ ユル  チ        レ   キ      ニ   ノ 朱子曰只是一気陽消処便是陰。不是陽退了。又別有箇陰生。    ノ          ハ   リ     ル   シテ              ヲ 朱子此陰陽消息之説。従程張来。而天地一気而已矣。号ト   シテ ノ テ      ス    チ レ       レハ ヲ チ  ハ而駕之以運行賦与焉。即是二而一、知之則生死特其聚散 進退耳」と。又中斎は楊亀山の語を挙げて曰く、天下を通し て一気のみ、合しては生れ、尽きては死す、凡そ心知血気あ るの類は、物として然らざるはなし。合の来にあらざること、 尽の往にあらざることを知らば、則ち其生や浮漓なり、其死 や氷釈なり、昼夜の常の如し、悦戚するに足るものなしと。           ハ ホ   ノ     ハ ホ               ノ 又曰く大程子曰、語黙猶昼夜。昼夜猶生死。生死猶古今                    シ  ヲ シ ヲ  シテ と。中斎此語を賛して曰く、「此皆程子尽心尽性、而所以   スル  ヲ       テ  ヘラク ノ デ ハ   ニ  チ   ニ    ケル ハ ス会生死処也。吾嘗謂。未出息在内。即生也。既吹息出   ニ   チ      テ ニ レハ ヲ チ      ノコトカ  レ ン  ノ リハ ト ケ 乎外。即死也。就身視之則生死。何雑知之有。此悟 本承 シ        ヲ リ   タル ヲ 領程子之教誨来以得之者也」と。
























楊亀山
楊時。宋
代の儒学
者


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