Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.5.8

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』

その21

丹 潔

(××叢書 第1編)文潮社 1922

◇禁転載◇

第四節 主義宣伝の講義 (2)

管理人註
   

 講義時間はかうである。――毎暁七ツ時頃に起るとすぐに一回あつた。 五ツ時頃に出塾して八ツ時頃に帰宅すると、また一回あつた。それから夜 にかけて二三回あることもあつた。  平八郎の講義は生きてゐた。講義の講義ではなかつた。自由人間の講義 であり、愛と涙の講義であつた。世の中の講義であつた。書物のみに固着 しない彼は、講義の中に不合理なる社会状態を批判した。攻撃した。また 大胆にも諸大名の為政振りを、炎のやうな口舌で、露骨に駁したので、門 弟は驚異した。けれどもそれは初めのうちであつた。しまひには門弟の方 から、彼等の態度や為政振りを質問し出した。平八郎は講義を通して皮肉 に軽妙に返答した。それは門弟の中にスパイがゐないとも限らないと思つ たからであらう。兎に角、彼の講義は天下第一を占めてゐた。他の多くの 儒者は、彼の足元にも寄らなかつた。  教科書即ち講義本は左に掲げた書物である。  □一経四書――孝経〔増補孝経彙註并鄭註本〕         古本大学〔序解〕         中庸〔朱註〕         論語〔朱註〕孟子〔朱註〕   七経三伝――易〔程伝〕         書〔蔡氏集伝〕         詩〔呂氏読詩記并朱子集伝〕         礼記〔陳氏集伝并三礼義疏〕         春秋〔并三伝〕   理  学――伝習録         朱子小学         四名公語録         近思録         陽明子集類         王門諸子書類         程朱書類〔有口訣〕         歴代理学名賢書類〔有口訣〕   史  類――二十一史         通鑑綱目         読史管見         名臣言行録〔各有口訣〕   詩  文――八大家文集之類         杜詩及宋十五家詩選之類

幸田成友
『大塩平八郎』
その74

出塾
「出勤」が
正しい








幸田成友
『大塩平八郎』
その73
 


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