堂上侍と二條城詰侍 その3 |
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砂 持 と 種 種 の 催 物 |
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奸 商 虚 説 を 流 布 し て 米 価 を 引 上 ぐ |
十五日曇、十二日より今日に至れ共冷気甚し。堂島の姦商時を得たりと頻に米価を引上げ、肥後米一石百三匁、正米の売買は百十六七匁と云ふ事なり。已に先月下旬より当月初にかけて、天気宜からざりしに、別けて廿七日の大風は九州一統大変にて、肥後の城大に損じ、其殿主を吹飛す。此の如き大風なれば、人家の倒れし事は其数を知らず。又津浪にて田地仰山に流れし抔、跡形もなき悪説を頻に言触らしぬ、憎むべき事なり。
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