Я[大塩の乱 資料館]Я
2004.4.16

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「浮世の有様 巻之八」

◇禁転載◇

水戸侯の触書  その1

 








  水戸侯御家来へ被仰渡候書付の写

巳年・申年両度の凶作にて米殻共乏敷候処、此気候にては此上何共難計、万々一今年凶作に候へば、国中土民扶助如何せんと、日夜心思を苦しめ候。天地の変災は人の力に不及候へ共、人は万物の霊にて有之候へば、上下一致いたし候て人事を尽し候へば、其心天地に通じ変災も甚しきに至らず、変災不止とも人力を尽したる上にて、上下諸共飢に及ぶは天命なり。君子は民の父母と有之候へば、仮初にも国中数十万人の父母と仰がれ候上は、争か子飢に迫るを見るに忍びんや。是に依りて今 日七日の間精進潔斎して、鹿島・□□(香取カ)・吉田等へ五穀成就・万民安穏 の大願を立候へば日々平世の食を用ひ候ては恐懼の事故、我等を始め一同今日粥を食し候。上は天の怒を鎮め、下は民の患を救ひ候心得に候。此上何程凶年にても、国中の米穀にて我等の食物には差支無之、又粥を用ひ候迚余りたる米穀国中の湿ひにも不相成候へ共、重役始め国中の人我等の心を推察致し、人々心次第に米穀を余し候はゞ、国中の飢餓の民は無き道理、例へば爰に兄弟十人有り、一人は富貴にて珍味美食を用ひ、二人は相応の勝手にて十分に飲食す。二人は平生の食を用ひ、其余五人は飢ゑて死なんとする時、初の五人己々の食を分け、十人共平生あしき麁食を用ひ候はば、十人の命全かるべし。我等愚なる身にて国中土民の父子となせば、国中の土民は相互の兄弟同様に思ひ、貧しき者は倹約して、富める者は我独富まず、一粒宛も余して世の中の湿ひに相成候様心置候はゞ、国中に飢民有之間敷候。貴賤・上下によらず心あらんものは、夫々其処の鎮守氏神へ実意を以て五穀成就の願を込め、一粒宛も食余し一人をも助けんと志し候様致し度き事に候。

 六月三日

 


「水戸侯の触書」その2
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