Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.2.6

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「浮世の有様 巻之八」

◇禁転載◇

前田家の騒擾 その2













東御奉行には昨年大塩一件にて、大いに不評判なりし故、之を取直さんと思はるゝにや、玉造辺は物の運送悪しき処故、自ら不繁昌にて困窮の者多き故、之を繁昌せしめ町人共を悦ばしめんとて、猫間川 一名鯰川と云ふ の川幅を広げ、二軒茶屋の辺迄船の著きぬる様になし、一昨年来酒の過造をなして、御取上となりし酒の明株を下され、川の堤には多くの桜を植ゑ、諸人を此処へ浮かれ来る様になして、処の賑ひになさんとす。未だ事成らざるに其景気を見んとて、大坂三郷市中の溢れ者共我一にと浮かれ立ち、酒肴を携へ見物大群集するにぞ、仰山に掛茶屋をなし、力持・見せ物等の小家をも立連ね、騒々しき有様にて、先年川口の浪除山 天保山と云ふ の出来ぬる時に等し。一奇事と云ふべし。

 ■*1

 








大塩一件は昨年江戸より吟味役上られ、町奉行の手を離れ、鈴木町御代官屋敷にて御取調ありしに、何か是迄と相違せし事ありぬる由にて、是迄無事にて有し者の旧冬押詰りて江戸に引かれ、再吟味となれる者抔有りて、御仕置も捗行かずと云ふ事なり。







 


管理人註
*1 三一書房版にある文が欠落している。


「前田家の騒擾」その1
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