Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.7.24

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「浮世の有様 巻之八」

◇禁転載◇

江戸の出火 その1

 







   江戸出火

四月十七日午の中刻、日本橋小田原町二丁目より出火、南風強く同町残らず、伊勢町・同塩川岸・本船町・魚川岸・瀬戸物町・室町一・二・三丁目・品川町・同裏川岸釘店・北鞘地町・駿河町・両替町・金吹町・本革屋町・本町一・二・三・四丁目・本石町一・二・三・四丁目・本銀町一・二・三・四丁目・神田紺屋町三丁目・下白壁町・三島町辺にて焼留り、夫より東風にて神田今川橋・元乗物町・鍛冶町一・二丁目共鍋町迄、夫より西へ蝋燭町・関口町・多町・竪大工町・横大工町・三河町残らず、鎌倉川岸残らず、龍閑町・松屋町残らず、夫より神田橋外小川町通御屋敷方、遠藤但馬守・本多豊前守・平岡石見守・板倉伊予守・榊原式部少輔・松平紀伊守・本庄伊勢守・内籐火消屋敷・本郷丹後守・白須甲斐守、右之外御旗本屋敷多分御焼失、同夜子の刻火鎮り申候。
〔頭書〕西の丸御普請の材木、仰山に護持院が原に小家掛して幾所ともなく積みて有りしに、之に飛火して火移りぬる故、亀山等の屋敷も焼失する様になりて、殊の外なる大火となる。

 ■ *1

先月下旬以来、天神の砂持大はずみにて男女の別なく、種々様々の形をなして、大坂市中も花街も一円に浮かれ立ち、大に震動す。其騒々しき事之を譬ふるに物なし。何れも悉く狂人の如し。性気正しくしてはなり難き事共なり。此末恐るべき事なり。幸町にても諭加権現の処替ありて砂持をなす、天神と一時にて大騒ぎなり。

 







  閏四月江戸出火

当月四日亥の刻、麹町九丁目より出火、折節西北風強く大火に相成り、同町より同四丁目迄南側残らず、同町二丁目迄南側計り焼け、夫より山本町・平川町辺天神前通西側計り表通り共、三軒屋下通小田切様御屋敷際迄、麹町貝塚迄南側通赤坂御門通際迄、尾州様中の屋敷・稲垣様・松平出羽守様中屋敷・阿部大学様、其外寺敷多御類焼御座候。漸々翌辰の刻頃火鎮り申候。此段為御知申上候。

    但し尾州様中屋敷・松平出羽守様下屋敷類焼、稲垣対馬守様・阿部大学様御類焼、其外御旗本屋敷数多類焼之事。

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廿四日雨、今日堂島の姦商米価を引上げんと博奕徒・芝居の木戸などの悪徒五十人計り雇ひ来りて、不法の業をなし、米価一石に付二匁程上りぬ。之に依つて公儀より百三十人計も召捕らる。

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廿八日丑の刻江戸丸の内大名小路松平備前守殿屋敷焼失、隣家堀田殿類焼の由。

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管理人註
*1 三一書房版にある文が欠落している。


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「浮世の有様」大塩の乱関係目次3

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