Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.11.8

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『洗心洞箚記』 (抄)

その38

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

附録抄

茶翁詩を吟ずる八十年、二たび函関に入り五たび鴨川、携へ来る九節彎蜷(わんけん)の竹、風月を嘲り尽して飛んで天に上る、
手に雲漢を抉(えぐ)つて其の杖を遺(おと)す、
直下七万八千里我が前に堕つ、
黒光奕奕(えき\/)手沢在り、
急に之を拾ひ取る誰か先きに居る、持ち去つて鯨を掣す芸海の辺、
雨翻り浪湧き忽ち見えず、
万鷁(げき)聚散尋ぬるに縁(よし)無し、
君が姦をし伏を発する神の如きの手を借つて、六丁を駆役して急なること弦の如し、
碧落を排し黄泉を掀(あ)げ、追逐獲来つて喜び顛せんと欲す、
汝龍を学んで躍つて淵に入りしにあらず、
汝を見るに未だ鱗の連延を生ぜず、
応に是れ竊に吾が(くわい\/)を罵り、前者を追うて去つて斗(とてん)に奔りしなるべし、
君が力に頼るにあらざるよりは、逋逃(ほたう)終に旋(かへ)らず、
汝勉めて我に従うて復た然(し)かする勿れ、
吾れ将に共に翁の遺(のこ)す所の残雲剰煙を捜らんとす、
一語凡に落つれば汝が鞭を受けん。

   【原文(漢文)略】


石崎東国『大塩平八郎伝』その38


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