● めいばう
一〇 呂新吾先生曰く、「古人は名望相近ければ則
●あひう こんじん ねた
ち相得。今人は名望相近ければ則ち相妬む」と。
あゝ
吁、其の相妬むや、一点の利心あるを以てなり。
くわ ● たい
一点の利心は、碩学鴻儒をして、化して妾婦の態
を為さしむ。則ちそれ亦た恐るべきものなり。故
どうち
に童穉学に入る時、其の心を去らしむるは、惟だ
せめ こう
是れ教ゆる者の責のみ。惟だ是れ学ぶ者の工のみ、
●いご
而て文字唔は其の余事なり。
呂新吾先生曰、「古人名望相近則相得、今人名
望相近則相妬、」吁、其相妬也、以有一点利
心也、一点利心、使碩学鴻儒、化為妾婦態、
則其亦可恐者也、故童穉入学時、令去其心、
惟是教者之責耳、惟是学者之工耳、而文字唔
其余事也、
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●呂新吾。呂坤、
明末の学者、呻
吟語を著はす、
前出。
●相得。親密。
●妾婦の態。媚
を売る娼婦の態
度の意。
●唔。唔に
作る、読書の声。
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