山田準『洗心洞箚記』(本文)237 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.11.5/2011.1.13最新

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『洗心洞箚記』 (本文)

その237

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

下 巻訳者註

         た          しゆう         れい 九〇 周子曰く、「惟だ人や、其の秀を得て最も霊           しん  ち  なり。形既に生ず、神・知を発す、五性感勤して  善悪分れ、万事出づ」と。陽明先生の謂はゆる良  知の本体は、即ち此の霊の謂なり。其謂はゆる知  を致すの知は、乃ち霊の用にして、而て即ち此の                      そな  神・知を発するの謂なり。其の謂はゆる衆理具は  つて万事出づるは、即ち此の五性感勤して而て善  悪分れ万事出づるの謂なり。而て陽明先生の学は、  総て心上より流出し来る。而て外より借り来れる  ものにあらざるなり。即ち周子の学と同一宗なり。    わうえん              たゞち しんけつ  故に王州曰く、「陽明は直に心訣を指し、以て  かみ          くわうせきさい  上周・程の説に合す」と。黄石斎曰く、「陽明は      れんけい               あ ゝ  全く是れ濂渓の学問なり」と。鳴呼、二子の言は、       かくろん  公正不易の確論なり。   周子曰、「惟人也、得其秀而最霊、形既生矣、   神発知矣、五性感動、而善悪分、万事出矣、」   陽明先生所謂良知之本体、即此霊之謂也、其   所謂致知之知、乃霊之用、而即此神発知之   謂也、其所謂衆理具而万事出、即此五性感動、   而善悪分、万事出之謂也、而陽明先生之学、総   従心上流出釆、而非外借来者也、即与   周子之学同一宗也、故王州曰、「陽明直指   心訣、以上合周程之説黄石斎曰、「陽明全   是濂渓学問」、鳴呼、二子之言、公正不易之確   論也、


此の語、太極
図説に出づ、秀
は陰陽五行の秀、
神・知を発すを、
神発して知ると
読む説あるも、
従はず、五性は
朱子は仁義礼智
信といふ、或は
大戴礼に依り、
喜怒欲懼憂とい
ふ。

衆理云々。陽
明は大学の明徳
を解して、虚霊
昧からず、衆理
具はつて万事出
づといふ。

州。明の
土世貞、凰洲、
又た州山人と
号す、義烈に富
む、李攀龍と古
文辞を唱ふ。

周程。周濂渓
と程子兄弟。

黄石斎。黄道
周、前出


『洗心洞箚記』(本文)目次/その236/その238

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