一一七 楊亀山先生曰く、「天下を通じて一気のみ、
合して生じ、尽きて死す。凡そ心知血気あるの類
は、物として然らざるは無きなり。合の来るにあ
らず、尽の往くにあらざることを知らば、則ち其
●ふおう ●えつ
の生や浮、其の死や氷釈、昼夜の常の如く、悦
せき
戚するに足るものなし」と。先生の此悟は、全く
●せいもう しうさん ●えき
正蒙の太虚は一気聚散の説より来る。易に謂はゆ
たづ かへ
る始を原ね終に反る、故に死生の説を知るものな
いひいんじゆん
り。故に其の終身道を論ずるに、畏避因循の態無
じやうそく
かりき。程門の上足の高弟、斯人にあらずして誰
ぞや。
楊亀山先生曰、「通天下一気耳、合而生、尽
而死、凡有心知血気之類、無物不然也、知
合之非来尽之非往、則其生也浮、其死也氷
釈、如昼夜之常、無足悦戚者、」先生此
悟、全従正蒙太虚一気聚散之説来、易所謂
原始反終、故知死生之説者也、故其終身論
道、無畏避因循之態、程門上足高弟、非斯
人而誰歟、
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●浮。水上の
泡。
●悦戚。悦と、
悲しみ。
●正蒙。張横渠
の著、前出。
●易の繋辞伝に
出づ。
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