玄関へ
「大塩の乱関係論文集」目次
北海出版社 1937 『日本教育家文庫 第34巻』 ◇◇禁転載◇
天保六年、中斎四十三歳となる。正月、小田原侯大久保忠直、幕閣老 中の首班に上り、新政を行はんとして人才を物色した。侯は曾て大阪城 代たりし人、因つて中斎を召して政治を問はんとするの議あり、昌平黌 の儒官古賀小太郎菴をして中斎の対策を徴せしめた。中斎乃ち真知、 聖道、実践の題下に意見を草して之を古賀に致したが、其まゝ沙汰止み となつた。其理由伝はらざるも、既に学派の喧しき昌平黌を経由するか らは、中斎の起用は望むべくもないことは常人を待たずして知られる。
石崎東国 『大塩平八郎伝』 その75