Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.5.11

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩中斎』

その5

山田 準(1867−1952) 

北海出版社 1937 『日本教育家文庫 第34巻』 ◇

◇禁転載◇

前編 修学及吏職
 第五章 仕宦
管理人註
   

 中斎は祖父老年の故を以て、文化三年の十四歳には、早くも東町奉行 の与力見習に出仕した。既にして露英の兵艦近海に去来し、外警頻に伝 はり、幕府海防に注意した。中斎深く時事を憂へ、官に稟して曰ふ「方 今士風漸く頽れて、武事を忽にし、人々皆剣槍弓銃の事を顧みず、一旦 変故に会はゞ何とかせん、小人願くは之を振作せん、請ふ三年を期して、 各其業を修めしめん」と。後ち官が与力其他士人を試むるに、武技大に 進み昔日の観を改めた。之に因つて、中斎は賞与を蒙つたが、当時大阪 の士人が始て武技に練達するに至つたのは、実に中斎の恩恵であつた。  中斎は十九歳となつた。此時定町廻役に勤仕したが、市中に盗難が頻 出した。中斎は炯眼、早くも其海賊の所業なることを看破し、海賊三十 余人を捕ヘた。此が勤役劈頭第一の功名と称せられた。






石崎東国
『大塩平八郎伝』
その20
 


『大塩中斎』目次/その4/その6

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