Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.8.3

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩中斎』

その56

山田 準(1867−1952) 

北海出版社 1937 『日本教育家文庫 第34巻』 ◇

◇禁転載◇

後編 兇年の惨状と猾吏驕商の膺懲
 第十四章 敢て乱を好むに非らず
管理人註
   

 中斎は鴻池等の書を得て、膺懲の決意始て動いた。大塩平八郎伝に云 ふ。  平八郎、庄司義左衛門(門人、東組同心)を迎へて、示すに鴻池等連  名の謝書を以てし、余不敏にして奴輩に誤られ、面目の諸子に見ゆる                       ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  なし、故に我敢て微躯を試みて宿志を償ひ、猾吏驕民の眠を駆らんと   ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  欲す、敢て乱を好むに非ず、実に已むを得ざるなり。今足下に託して  吾が誠心を世上に伝ヘ、併せて諸子に識らしめんとす、足下必ず之を  拒む勿れと、声涙共に下る。義左衛門之を聴て声色を作して曰ふ、寄  託重けれども、某世に存して狗鼠の徒と倶に庁に立つを欲せず、望む  らくば先生の前駆となり鞭を執つて一臂の力を致さん。今や時論与せ                 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○  ざるも、決して恤ふに足らず、後世輿論一に帰するを待つて、而して   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  先生の名定まるべしと。平八郎欣然として曰く、足下身を以て我に許  さば、大事済すに難からずと。



石崎東国
『大塩平八郎伝』
その100





 


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