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大塩の乱関係論文集目次

○嘉永元戊申年十二月写
　　大阪御留守居心得方覚

　　　　　　　　　　　吉田角弥　正音
　　　　　　　　　　　　（堂島玉江橋北詰臼杵藩蔵屋敷）

　　正月元日

一　夘ノ刻過キ於御殿御次（御次ノ間）御屋敷中御礼通リ相揃御上エ年始御祝儀申上候事、
尤モ高席之者ヨリ御留守居ニ向、御祝儀申達ス、御留守居ヨリ出仕之段可申上之旨（御在所殿様エ申上）相答直ニ御熨斗（オノシ）頂戴之事、御留守居ハ熨斗目麻上下（ノシメアサカミシモ）也

一　御出入家町人共、為年礼追々入来ニ付、御留守居終日亭主役相勤、尤モ御銀方之類（会計方と見る）御出入方エ年礼廻勤罷越候故、御留守居一人也

但年始ハ土器冷酒ニ而一通リ献酬ノ礼相済ミ、直ニ吸物温酒出之、御肴ハ重詰(ヂユウツメ) 之事、

　　同二日

一　御留守居年礼廻勤之事

熨斗目麻上下（ノシメアサカミシモ）着用東町御奉行所御礼銭壱貫文持参御逢有之、西町御奉行所同断、但シ御逢ハ無之、昼平野屋仁兵衛方ニ而酒食出之、

　　同三日

一　右同断之事、川口御奉行所エ御礼銭壱貫文持参御逢無之、昼大庄屋次郎右衛門方ニ而酒肴食事等出之、

　　同四日

一　御役所始メニ付、麻上下着用之事、

　　同七日

一　御歳開キ御祝儀ニ付、六軒家主人並ニ名代中エ御赤飯（オセキハン）被下、各々入来之事、

右之節御留守居ハ焚斗目麻上下着用、昼御膳被下候節平皿(ヒラサラ)ハ御銀方引之、焼物ハ御留守居引之、御膳之節相伴ハ御留守居斗リ、食事相済ミ及挨拶、上下(カミシモ)取之、暫時休息、夕方吸物酒出之、
此節ハ御銀方モ罷出ル、一統無袴也、罷帰候節、御内玄関 (オウチゲンクワン)迄見送リ 候事、（御銀方前記の通り）

　　同十三日

一　浜方右同断之事

　　二月以降

一　初午御祭礼ニ付、御留守居台提灯(ダイチヨウチン)神納之事、御神酒一升同断、尤モ御銀方一同入組 候事、（割前負担の意なるべし）、

右ニ付、当日御屋敷中末々迄（下男下女等迄）御神酒頂戴之事、

一　五節句麻上下着用、辰ノ刻過キ於御殿御祝儀申上候事、

但御年始之通リ、右ニ付、為御祝儀、御出入家追々入来、吸物酒肴出之、亭主役御留守居、御銀方モ罷出候事、

一　八朔御祝儀、右同断之事、

但御出入家入来之節、同断、御料理被下、御蔵開キノ通リ御留守居斗リ相伴、継上下着 用之事、

一　御家老御通阪之節、御乗船エ、為御機嫌伺罷出候事、尤モ平服之事、

但書役之類モ右ニ准ジ候得共、不罷出候節ハ応時宜、此方（御留守居役）ヨリ宜ク申上置候事、

一　御使者相勤候節、麻上下着用之事、

一　御使者入来之節ハ坐敷へ通シ置キ、継上下ニ而出会之事、

一　御奉行所ヨリ御呼出之節、一通リハ継上下之事、

但御城代様ヨリ御呼出、御直逢ノ様子予而御案内有之候節ハ、麻上下着用之事、
尤モ町御奉行所御呼出ニ而モ、時宜ニ依リ麻上下之節モ可有之候事

一　御留守居交代引継之節ハ両御町奉行所エ罷出候事、

但先役ハ継上下、新役ハ麻上下着用ノ事、新役ハ御礼銭青銅壱貫文持参、御用番之方エ先役ヨリ御定書拝見之儀ヲ申入、新役印行仕置候事、

一　川口御奉行所、同断、新役御礼銭壱貫文持参ノ事、

一　諸家様御留守居並ニ御出入与力、且ツ町家エ先役ハ暇乞、新役ハ先役同様、不相変御懇意被成下候様、為挨拶一同罷越候事、

一　御組合住吉屋ニ而内会初盃引廻シ之儀、古参役エ先役ヨリ頼置候事、

但寄合之前々日頃、継上下ニ而、予而頼置候古参留守居役方エ罷越、尚又初盃引廻シ之儀御差図被成下候様頼置、当日継上下ニ而、羽織ハ家来ニ為持、早目ニ参リ候方、宜敷先許ニ而一通リ初盃相済候得バ、一統袴取之、初メ而之節ハ一統ヨリ挨拶有之候而モ、袴不取、引廻シ、留守居役ヨリ程能ク差図有之候、其上ニ而肩衣取之、袴羽織ニ而罷出ル、追而一統羽織取之、又候挨拶有之、引廻シ之留守居役ヨリ差図之上、袴斗リ取之、羽織ハ矢張リ着用之事、併シ強而挨拶等有之候節ハ 時宜可見合候事、

一　一統ヨリ菓子出ル其節、座中エ罷出一統へ挨拶致候事、

一　右相済候上、引廻シ留守居役方エ為謝礼、海魚三種判紙二束（臼杵国産）見斗ヒ自筆手紙相添差遣ハシ、追而自分挨拶ニ罷出候事、

一　内会引請之節モ、右同様差図ヲ受候事、内会ノ前々日廻章自筆相認メ持廻リ差出シ候事、認メ様左之通リ、

以廻章啓上仕候、何々之節ニ御座候得共
御一統様益御安泰被為渡奉敬賀候、然者明後何日御内会私方エ御引受申上候間、御苦労奉存候得共、御例刻ヨリ御光来被成下候様奉願上候、右御案内為可得貴意如此御座候、以上、

　　何月何日　　　　　　　　　　苗字斗り
　　　　　　　　　　　　　　　　　吉田九拝
御国名斗り
　　嶋　原　様
　　大　村　様