人生設計
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小生、3年遅れで社会人になってすでに二十余年、すでにどこからみてもオッサンですが、その社会人経験から人生設計について少々。

社会人の人生設計で最も大切で、絶対に避けて通れないのは「結婚」と「定年後」でしょう。つまり、

・よい相手と結婚する
・ライフワークを持つ

この2つで人生は大きく決まると言っても過言ではありません。もちろん他にもいろいろな要素はありますが、この2つを押さえればいろいろあっても人生に勝利することができます。

ですが、普通に通勤している限り、目先の仕事に追われて、「結婚」「定年後」を真剣に考える機会がないものです。その結果、多くの人が後手に回っています。

この2つでも、「結婚」はまだいいのです。職場でもある程度フォローがないわけではありません。私の以前の上司は、

「忙しくて結婚もできん、は言い訳にならんぞ」

と口癖のように言っておられました。当時は少々うっとおしかったのですが、今になってみると、この人なりの気遣いだったのだな、と思います。それから言えば、

「定年後に何をするかわからない、では話にならんぞ」

なのですが、職場でこういった話がされることはまずありえません。まだ結婚は家庭を持つことによって、仕事がより充実するといった一面があります。しかし、定年後の話は仕事と何の関係もないからです。

職場の人間からすれば、定年後はあの世の話みたいで現実味はありません。しかし、定年後をあの世の話と思っているようでは、定年後本当にやることがなくて辛いでしょう。その結果、急激に老け込んで短命に終わってしまうのが関の山です。

職場環境はそんな状況ですから、僭越ながら、パーソナル・コーチングでは、クライアントさんの人生設計に対して問題提起を積極的にする必要がある、と考えています。私が日ごろコーチングで言っているのは、

「40になったら定年後を考えましょう」

ということです。定年後を考えるというのは、とりも直さず自己実現を考える、ということなのです。つまり、人生設計とは自己実現の実体を明らかにする作業で、自分は何のために生まれてきたのか、自分の使命は何か、そのためには何をすべきか、の結論を出すということです。

パーソナル・コーチングは自己実現の話が遠慮なくできる場であり、むしろ自己実現を積極的に扱うべきなのです。コーチは単なる目標達成ではなく、自己実現を扱えてはじめて存在意義があるのだ、と思っています。

ビジネス・モデル
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起業したいのだが、ビジネス・モデルを考えるのにコーチをつけたい、という依頼を2件ほど受けたことがあります。

体験コーチングということで実際にやってみると、叩き台くらいまでには本人がまとめていないと、コーチングのやりようがないということがわかります。コーチングでは「何をやりたいか」を決めるのではなく、「どうやってやるのか」「いつやるのか」を決めるに過ぎないからです。行き先が決まってこそのコーチングです。

自分が起業したときを考えても、ビジネス・モデルは苦労に苦労を重ねて考えた記憶があります。考えてもダメな時は、インターネット検索を毎日飽きもせずに繰り返していました。そうして、これはというサイトにメールを出して会ってもらったり、紹介したもらった会合に出たりしました。足で調査するというのも絶対に必要です。

そうした活動を何ヶ月も続けてやっとのことでまとめるのがビジネス・モデルです。ですから、構想生煮えの段階で他人に持ちかけてもどうなるわけでもないのです。

とにかく2件とも、何をやりたいかが定まらずに相手がブレまくったため、全く話が深まらないのには閉口しました。のれんに腕押しとはこのことです。その程度で「コーチング」と称して他人に依存するという姿勢に全く共感できません。横着だと言ったら言い過ぎでしょうか。

ビジネス・モデルを自分でまとめられないなら、起業する資格なしなのです。

助言者としての素質
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インターネットでサイトを開設している関係で、「コーチになりたい、どうすればいいのか」といった問い合わせをよくいただきます。しかしHOW TOだけで助言者になれるわけでは決してありません。本人の資質が何よりも大切です。

その人が助言者に向いているかどうかはちょっと話せばすぐわかります。私が見るポイントは、

@話が簡潔か
A視点に幅の広さがあるか

この2つです。

話が簡潔ということは自身に論理の整理能力が備わっているということで、助言者の大切な資質です。コーチになりたいと言いながら、いつ果てるともなく身の上話をする人がいましたが、これでは見込みありません。

視点の幅も大切です。これは本人が出してきた結論にいろいろな面からの考察が加えられているかどうかで見てとれます。いろいろな人を相手するのに、思考の幅ということは絶対必要です。単純な人ほど助言者としては不向きです。

@とAを兼ね備えた人の特徴は、

「複雑なことを解りやすく言う、しかも自分の言葉で表現する」

といったありようになります。

どうですか?もしあなたが自分にこういった能力がある、と自覚できるなら、すでに日常生活でちょっとした助言者として活躍していることでしょう。

学習塾のコーチングとは
357



クライアントのTさんは塾の経営者兼教師です。私に連絡を取って来られたきっかけは、塾の指導にコーチングを取り入れたい、ということでした。市販のコーチングの本に納得できるものがなかったそうです。

Tさんを数ヶ月に渡ってコーチングしてきた結果、次の結論が浮かび上がりました。

@教師と生徒の間で特にコーチングというほどのこともない。

教師と生徒は他人であり、十分距離を取った理性的な接触となります。こちらは従来型の「指導法」(たとえば○○式)で事足りる、ということです。

A塾を離れた家庭生活での親子関係は問題が多発している。

親子関係は子どもが幼いほど、盲目的な本能の関係となります。子どもは甘えるし、親は子どもの人格を認めず私物化します。距離が取れないのです。その結果、親が子どもを罵倒したり、挙句のはてにはしつけを理由に暴力を振るったり、という関係になりやすい、というわけです。とくに塾をめぐっての葛藤、つまりやめたいとか、成績が良くないとか、が泥沼化することが多いようです。

B結局、塾でのコーチングは塾の教師が生徒の母親に対して行うものである。

Aの理由で、悩んだり、自己嫌悪に陥っている母親は多いとのこと。面談しつつ、涙を流す?母親も結構いるそうです。そういう母親はたいてい思い込みで凝り固まって、出口が見えなくなっており、教師は母親の考え方の幅を広げるべく助言することになります。コーチングというよりカウンセリングに近いのが実情のようです。

結局、塾でのコーチングが存在するとすれば、その実態は「教師が生徒の母親をカウンセリングすること」なのでした。目指すところは、生徒の母親がわが子の人格を認め、理性的に距離を取って、外的コントロールを行使しないように、塾の教師が助言する、ということなのです。

Tさんは従来は面談で母親の気持ちをわかってあげて、共感するだけだったとのことです。しかしこれでは、気休めに過ぎないと気づいたそうです。承認しつつ「母親の考え方の幅を広げていく」というのがポイントだという結論に達したそうです。これは私とのセッションを通して気づかれたとのことでした。

母親の気持ちを承認しつつ、考え方の幅を広げていくのが、塾でのコーチング(カウンセリング)の本質のようです。割と意外な結論ですね。市販のコーチングの本に納得できるものがなかったのはうなずけます。

越境と流派
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知人のSさんはコンサルタントを目指しておられます。去年中小企業診断士試験に挑戦して、残念ながら不合格でした。中小企業診断士試験は年1回しかなく、1次・2次とも合格率十数パーセントの難関です。試験勉強には学校に通ったり、各科目の参考書や問題集を買ったりとずいぶんお金がかかります。Sさんは家族の理解も取り付けながら、休日返上で勉強に取り組んできました。その努力が報われなかったSさんの落胆は想像するに余りあります。

おそらく気持ちの整理をつけたり、心の持ち方を変えるのに数日はかかったと思います。そうして気持ちの整理をつけた後に、ようやく再チャレンジの行動を起こせるわけです。具体的には苦手の科目の徹底攻略、ということになるわけです。

つまり、何か問題がある場合、

@気持ちの整理をつける(内的適応)
A問題を解消すべく行動を起こす(外的行動)

この2つのステップで問題を乗り越えていくのです。これは自問自答の自力で解決するにせよ、人に助言を求めるにせよ、

@内的適応 → A外的行動

の順序となります。内的適応が外的行動に先行するのです。

カウンセリングとコーチングの定義は諸説がありますが、結局、カウンセリングは内的適応を支援するもので、コーチングは外的行動を支援するもの、と言って大筋間違いありません。

助言行為: カウンセリング(内的適応) → コーチング(外的行動)

と言っていいと思います。基本的に、助言行為は内的適応の支援と外的行動の支援が両方必要なのです。

しかし、内的適応もしくは外的行動を助言する相手が自力で処理できる場合、それぞれを支援する必要がなくなります。その結果、助言行為が内的適応の支援のみ、または外的行動の支援のみの場合も数多くあります。

一般論で言うと、

・内的適応を支援し、外的行動は本人に委ねるのがカウンセラー
・外的行動を支援し、内的適応は本人に委ねるのがコーチ

ということになります。しかし、これは例外もあってカウンセラーでありながら外的行動を支援したり、コーチでありながら内的適応を支援したりする「越境」は当然ありえます。この越境の度合いでカウンセリングやコーチングの「流派」が存在するわけです。

傾聴だけのカウンセリングはカウンセリングの主流のようですが、個人的にはあまり高く評価するものではありません。やっぱりもっと能動的に両方をワンストップでこなせるべきだと思うし、私自身もこれを目標にしています。
400 福島健康保険医協会
399 修了証
398 群れないというありかた
397 資格発行
396 全方位苦情処理

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395 N番煎じ
394 紫外線パワー
393 コーチング本
392 いかに盛り上がるか
391 カウンセリングのアカデミズム

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389 コーチングとは
388 コールド・リーディング
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386 最も記念すべき日は

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385 コーチングより重要なカウンセリング
384 一日研修
383 自分の造語
382 充電が必要
381 ライフ・ミッション

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379 志が見つからない
378 ハウツー本の弊害
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376 ミリオンセラーというのはいかに途方もない存在か

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