不況型人間
365



小室直樹氏によると不況というのは、

ものが売れないから景気が悪い → 景気が悪いからものが売れない → ものが売れないから景気が悪い → 景気が悪いからものが売れない → ・・・

と因が果となり、果が因となって循環していくものということです。

不況型という人はいます。つまり、

自信がないから不安だ → 不安だから自信がない → 自信がないから不安だ → 不安だから自信がない → ・・・

と悪循環を繰り返している人です。これから抜け出すためにはとにかく目先の一事を納得いくように仕上げて

自信があるから挑戦する → 挑戦したから自信がつく → 自信があるから挑戦する → 挑戦したから自信がつく → ・・・

と善循環へ切り替えるしかないでしょう。であるなら、次の2つは明確にしなければなりません。

・「目先の一事」とは具体的に何か
・「納得いくように仕上げる」とは具体的にどうなることか


しかし、これを論じるためには本人の覚悟や意欲といったものは必須です。

ある若い女性が相手のときに、この質問をしたところ、どうも抽象的な答えしか返ってきません。本人の覚悟や意欲が欠けているため、日頃こうした問題意識がない、ということがうかがえます。そのくせ、セッションの最後に、

「コーチングって漠然としていてつかみどころがないんですね」

と言うのです。

つかみどころがないのはあなたなんですよ!

コーチングが悪いのではありません・・・って、そうは言いませんでしたけれど、こちらは最後にどっと疲れが出ました。覚悟や意欲が欠けている人はいかんともしがたいな、というのが正直な気持ちです。不況 → 好況のトリガーは結局、覚悟と意欲なのです。

職業観
364



過日連絡を取ってきたYさんはコンサルタント会社にいるのですが、上司の仕事振りに納得がいかず、会社に確信が持てないということでした。そのため迷いや不安が生じて来て、モチベーションが下がっているとのことです。

どうしたらよろしいか?と言うので、「私の主観です」と断ったうえで、次のようにまとめてみました。

@コンサルタントの仕事に確信が持てないなら、職種を変える
Aコンサルタントの仕事に確信が持てて、会社に確信が持てないなら、会社を変わる
Bコンサルタントの仕事にも会社にも確信が持てるなら、上司が別の人に交代するのを待つ

以上の選択肢があるわけですが、結局私はYさんがコンサルタントの仕事に確信がない、と見て取りましたので、そのようにフィードバックしました。

たいへん失礼な言い方だとは思いますが、

コンサルタントは山師・詐欺師の要素がないと勤まらない

といった側面があります。私の師匠のT先生もコンサルタントですが、自らがこのように言っておられます。

私自身は製造業の経営側にいますが、正直なところコンサルタントとは所詮評論家であり、限界をわきまえて「利用」するものであって、とても何かを任せる存在ではありえない、と思っています。また、大した人がコンサルタントをやっているわけでもありません。その意味ではT先生の意見に全面的に同感です。

ですからYさんは、コンサルタント業がそういったマイナスの側面をあるのを踏まえた上で、なおかつコンサルタント業を肯定できなければなりません。問題はYさんが、自分の職業観をこのレベルまで整理できていないことです。

えらくコンサルタントを批判するようですが、どんな職業でもマイナスの側面はあります。世間の評価が高い医者でもそうです。人の命を救う、というプラスの面はありますが、マイナス面も多く、

・心身ともに不健康な病人ばかり相手にしなければならない
・とことん親身に患者に関わっていたらきりがないので適当に打ち切る必要がある
・休日や深夜の呼び出しはしょっちゅうだが、甘んじて受けなければならない
・最近は医療ミスの訴訟も多く、保身に最大限の注意を払う必要がある

そんなマイナスの側面を踏まえた上で、「やっぱり自分は医者をやるんだぁ」と言えなくてはならないのです。

また商社なんかでもそうです。私の会社は商社を通して部品を仕入れてますが、昔は商社の調達機能も評価できたのですけれど、今となっては商社の世代も変わってしまい、商社は何もしないのに単に伝票が通ってピンはねするだけの存在です。そのくせ商社を飛ばして直取引したりすると、猛然と抗議してきます。現に商社の担当も自分たちのことを、

ピンはね業

などと言っています。とはいえ、もちろん「ピンはね業」以外にはいろいろプラス面もあります。こういった状況下で、「やっぱりオレは商社マンだぁ」と言えなければならないわけです。

職業すべてにマイナス面はあるので、それを承知のうえでプラス面にどれだけこだわることができるか、これが職業観というものだと思います。職業観とはそういう葛藤を経て構築されるものなのです。

春の陽気
363



私が青年期に出会った師匠のR先生は外国人でしたが、物事のウラをずばり指摘する反面、愉快で屈託ない人でした。その影響を受けて、今では私も愉快で屈託ないタイプの人間になり、そうした家庭を営んでいます。

私が育った家庭環境は外的コントロールが強く、「愉快で屈託ない」というのとは異なりました。その結果、もともと私は暗い青年であったわけです。18歳のとき、一時受験勉強を断念して大阪日本橋でバイトしていたのですが、その頃いろいろな人から、

「杉本君は若さが感じられない」

と言われたくらい暗かったのです。しかし人間変われば変わるもので、今は当時の片鱗は全くないものと思います。暗い性格から這い上がってきたおかげで、コーチングではどんな性格の人でもお相手できるのは、ちょっとした強みといえるでしょう。

そんなわけで、コーチングを続けてきて、クライアントさんの状況がだいたい改善してくると、最後の仕上げは「快活な笑い」だという気がしています。次の一節をご紹介しましょう。

いつも、自由に快活に高らかに朗らかに笑える人は幸福である。諸君がもし不幸であるならばそして『こんなに人生が悲しいのに何で自分が笑えるか』と言いたいようであるならば、諸君よ、一室に退いて、まず鏡を見て笑え。鏡に映った表情を見て、自分がまだ幸福の要素を多分にもっていることを強く心に印象せよ。そして重ねて笑え。声を立てて笑え。表情は心の表れであると同時に、逆に表情でまた心も支配されるのである。笑いぬくとき悲しさは征服される。なぜあなたは悲しいか。もし人が自分に対して薄情であるがゆえに悲しいのであれば、自分自身に何か暗い近寄り難い冷たいものがあったためだと知らねばならぬ。そしてその暗い冷たい近寄り難いあるものはどうしたら追い出せるか。その唯一の駆除薬は朗らかな高笑いであることを知らねばならぬのだ。

『光明の生活法』 谷口雅春 1961年 日本教文社


単に目標設定を追いかけるだけではダメなのです。「春の陽気」、これを日常の自分の雰囲気として備えることがポイントなのです。

古来「笑う角には福来たる」と言いますが、その真意は深いです。

認定制度
362



とあるコンサルタントの方がこんなことを言っていました。

「自分のやっているのはコンサルティングではない。いろいろな手法を融合した自分なりの助言手法に『コンサルティング』というラベルを貼っているに過ぎない」

「コンサルティングのプレゼンテーションでは経営者は盛り上がらないが、その後の雑談の時間が一番盛り上がる。経営者が求めているのは実はこの雑談だろう」

これは私もかねてから感じていることです。結局助言というのは、コンサルティング・カウンセリング・コーチングをブレンドした総合助言でないと役に立ちません。

私も独自の助言スタイルに『コーチング』というラベルを貼っているだけなのです。世間一般で言うところのコーチングからすれば、コンサルティング・カウンセリングのウエイトが相当大きいと思います。私自身はそれがあるべき姿だと思っているし、世間でいうところのコーチングなんかに絶対引けを取らないと自負しています。

ですからコーチングの資格とか、認定制度は自分には必要ないという結論になります。なぜ好んで自分のスタイルに枷(かせ)をはめる必要があるのか、しかもお金を払ってまで、と思わざるを得ないからです。

認定制度自体が悪だ、などというつもりは毛頭ありませんし、コーチングの普及・振興に貢献しているとは思います。しかし、認定というのはそれ自体がおいしいビジネスで、揺るがない利権の性格があるのも事実です。

認定制度の関係者が「認定は取ってあたりまえ」といった発言をしていますが、私にすれば「それはあなたの意見でしょう」ということになります。

認定を取っても鳴かず飛ばずの人は大勢います。その人たちは認定のメリットを享受しているとは言いがたいのが現状です。それなのに更新制度まであって、更新のたびに更新料を払い続けることになります。認定を選択するのは個人の自由ですが、選択しない自由もあって当然でしょう。

気持ちはわかります
361



コーチングでいう「承認」はほめること、と某識者がテレビで発言しているを聞いたことがあります。

もちろんほめるに値すればほめればいいのです。しかし、ほめたらダメなところでほめたりすると、誤解を招きますし、相手はこちらの迎合を見て取って侮(あなど)りはじめます。

また絨毯爆撃のように何かにつけてほめられても、その効果は逓減していきます。効果的にほめるためには、気安くほめてはいかんのです。

つまり「ほめる=承認」であることは限られている、と考えたほうがよいです。そういつも相手が賞賛に値するわけではないでしょう。

ではいつも使える承認は何か。

「気持ちはわかります」

これなら相手の意見を肯定するときも否定するときも使えます。承認の真意とは決してほめることではなく、「気持ちをわかってあげる」ことなのです。

私の人生経験から言えば、全ての交渉や折衝の冒頭で、

「気持ちはわかります」

と言えば、ハナシはスムーズに開始します。そして以降何度となく、この文句を繰り返しても嫌味はありません。

「気持ちはわかります」

このせりふは、意見の対立がきびしくなるほど、干天の慈雨となるのです。
400 福島健康保険医協会
399 修了証
398 群れないというありかた
397 資格発行
396 全方位苦情処理

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395 N番煎じ
394 紫外線パワー
393 コーチング本
392 いかに盛り上がるか
391 カウンセリングのアカデミズム

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390 非情なビジネス・コーチング
389 コーチングとは
388 コールド・リーディング
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386 最も記念すべき日は

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385 コーチングより重要なカウンセリング
384 一日研修
383 自分の造語
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379 志が見つからない
378 ハウツー本の弊害
377 一石二鳥?
376 ミリオンセラーというのはいかに途方もない存在か

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