Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.10.29

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』

その62

香川蓬洲

精華堂書店 1912

◇禁転載◇

第十二席 (6)

管理人註
   

                                  ちかごろ  近年、地震だの火災、また山崩れ、洪水などが頻々として起るのは、全     かみ く天より上役人を戒めたまふ処で、彼等上役人の中には、賄賂を取つたり、 道徳仁義を弁へざる身分で以つて大役を勤め、従来諸役年貢に百姓等を苦 しめ、其上にまだ過分の用金を申附ける事もある、今日の如き米価の騰貴                               ちうおう せし折から、上役人には一向に下々の者の難渋には頓着をしない、紂王長 夜の酒盛も同じ事、依つて蟄居の吾等、もはや堪忍なりがたく、天下の為 と存じ、此度有志の者と申合せ、不正なる役人と、大阪市中の金持の町人 共を誅戮に及び、右の者等の貯へて居る処の金品米穀を、分配して遣るか ら、いつにても大阪市中に騒動の起つたと聞いたら、道の遠きを厭はず、                                いろ/\ 一刻も早く大阪へ向けて、馳せ来たれと云ふやうな事から、まだ/\種々 もつとも          したゝ 正理至極の事を書認め、其但し書きに、此書附、小前の者へは、道場坊主、 或は医者等より篤と読み聞かせ申すべく候、もし庄屋年寄、眼前の禍ひを おそ                           こふむり 畏れ、一己に隠し置き候はゞ、追つて屹度其罪を行ふべく候、蒙天命、致         ひのとゝり           なにがし 天誅候、 天保八丁酉月日 、其月日の下の処へ 某として、宛名は、摂河 泉播村村庄屋年寄百姓、並に小前百姓共へ、と記しました、長文のものを 草しまして、一同の者に見せました、そこで一味徒党の人々は、逐一の此 檄文を読み終りまして、是れから此檄文を更に清書して、印刷をさせる事 に相成りました。


石崎東国
『大塩平八郎伝』
その109

幸田成友『大塩平八郎』
その98大 塩 檄 文
 


『大塩平八郎』目次/その61/その63

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