Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.4.16

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』 その17

国府犀東(1873-1950)

(偉人史叢 8)裳華書房  1896

◇禁転載◇

吏務の治績(3)

管理人註







所信の断
行



































孔夫子の
発強剛毅
なる半面













吏務遂行
の大精神

其の訟を聴くや、吾猶ほ人の如きを期し、恥あり且つ格るを望み、其の法を 行ひ律を案するや、穣苴孫武が、周官司馬の法を断行せるを摸範とし、其の 職を恪守し、責を重むするや、「周官之正、則在六官各恰守其職」を学ば           ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ むとする平八郎は、其の信するところを断行するに於いて、亦た勇為果敢、 発強剛毅なるを期図せり、  後儒以孔子温良恭倹譲五字、為其伝神写真矣、故有発強剛毅、為  英雄之態、而不聖人之事、是乃大惇于天道、而甚叛於中庸也、   ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○  ○ ○    ○  ○ ○  ○ ○  ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○  夫温良恭倹譲、即柔徳而非陽徳、尊柔徳陽徳、乃青牛老之道、   ○ ○  ○ ○ ○ ○  ○ ○   ○ ○ ○ ● ● ● ●   ○ ○ ●  ●  ● ● ● ● ● ● ● ○   ○  而非我夫子之道也、故夫温良恭倹譲、特其求政時之気象徳容耳、亦   ○ ○ ○ ○ ○   ● ● ● ●  ● ● ● ●   ●  ● ●  ● ●   ● ● ●  ● ●   ○ ○ ●  何膠柱焉哉、両観之誅、夾谷之会、堕三都之挙、討陳恒之謂、是非発   ○ ○ ○  ○ ○  強剛毅而何、聖人之神化万変与大斉焉、豈有春温而無秋殺哉、要時                              ○ ○ ○  ○ ○ ○  中而已矣、吁、後人求政、則狡詐百端、進取而後止矣、而猶称温良恭   ○ ○   ○ ○ ○  ○ ○ ○ ○                   ○ ○ ○  倹譲、以陰禦正人或用、其当禍害、則遜避千計、逃而安矣、而尚憎   ● ● ● ●    ○ ○ ○  ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  発強剛毅、以顕沮君子之或行、而正人君子亦泥焉拘焉、而不天道中  庸之神化、却為衆人沮撓、不其万分之一、則豈非惜乎、  豈非恨乎、吾為宋末諸君子、発此一論、謹告其在天之精霊云、 平八は孔子の温良恭倹譲を以て、其の大行の半面となし、他の半面は即ち 両観の誅、夾谷の会、三都を堕つの挙、乃び陳恒を討つの請の如き、発強剛 毅に在りと観察したり、平八の眼中に映したる孔子は、即ち此の如とし、故 に其の特に孔子の発強剛毅なる半面に意を注き、之を其の凡百行為、特に其 の吏務を掌理するの際に用ひたるは、以つて其の学風と其の精神の如何にし て、又た那辺に在るかの一臠を、味ふに於て余りあるべし、然り平八は此の 精神を以つて吏務を処決せり、此の学風を以つて教育を遂行せり、其の学風 の骨髄とし、眼目としたる、全くこゝに在りしことに就ては、今暫く措いて           ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ こゝに之を贅せず、其のかゝる精神を吏務の方針とし、主脳としたるに至つ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ては、以つて其の訟を聴き獄を析する、凡へて此の方針と、此の主脳とより ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 流注し、拡充されたるものたること、多言を用ひずして明白なるを知るべし、 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 此の如き精神を以つて、彼の如く職責を重むし、彼の如く法を行ひ律を案し、 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 彼の如く訟を聴き獄を析す、其の勇往直前霹靂雷霆の如きと、其の敢為果鋭 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 寒霜烈日の如きものありしとは、固より怪むに足らず、其の克く毅然として ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・ 権勢に屈せず、威武に撓ます、風発氏A姦猾を糾明し、妖教を芥鋤し、邪 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・ 僧を沙汰したる、吏務上の治績に至ては、要するに皆な此の大精神に、其の ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ 淵源を有するものたること、亦た火を睹るか如きあり、



『洗心洞箚記』 (本文)
その146


















































一臠
(いちれん)
ひときれの






















撓(たわ)ます




睹(み)る


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