Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.7.19

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』 その79

国府犀東(1873-1950)

(偉人史叢 8)裳華書房  1896

◇禁転載◇

天保の饑饉(11)

管理人註


不二峰頭
の平八

               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 而して其の芙嶽に登るや、平八は芙峰一万八千尺高々たる彼の絶嶽に立つて ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 霊曜の杲々として雲を排し、霧を披らき、直ちに東天に燭して下界を照臨す ・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ るを瞻、天空ふして海濶く、八紘寥廊として乾坤虚明、山は皆な蟻垤と蜂 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ との如きを瞰し、当年果して如何の感かある、     ○ ○  ○ ○  ○  ○ ○  ○ ○ ○  ○ ○ ○  ○   ◎ ◎  ◎ ◎  ◎ ◎ ◎    口吐太虚世界。太虚入口又成心。心与太虚本一物。    人能存道只今乎。                     ・・・・・・・    千年雪映千年月。況復紅輪未暁昇。下界祇今猶夢寐。    ・・・・・・・    枕頭暗々五更灯。 ・・・・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・ 雲の上に立つて、日に鞭ち、星に撻ち、空に駕し、天に跨つて縲緲として ・・・・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 風に吹かれ、四字の外、八極の表に神游する平八は、早やく太虚即ち平八、 ・・・・・・・・・・ ・・・・ 平八即ち太虚となれり、王陽明か    ・・・・ ・ ・・  ・・・・・ ・・  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○    険夷本不胸中。何如浮雲蔽大空。夜静海濤三万里。     ○ ○ ○  ○ ○  ○ ○    月明飛錫下天風。                               ・・・・ と吟せるもの、平八や其の境に仰俯し、流眄し、兀立し、箕踞す、彼れは日 ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 星を挟むて、今や天風に駕して飛はむとするなり、      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ 然り而して天下の凶歉は歳の終るに臨むて、益其の度を進むるなり、秋より ・ ・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・ 冬、一歩は一歩より、逼り、一日は一日より急なり、      弟子省語詩。又恐枯淡流乎二氏。故寓警発之意。                           大塩後素    看了心中月。意味自深長。不妨洞庭去。縦横撥月光。      雨後郊行。視黄梁黒黍。多為潦水腐朽。憫然賦絶句。    今秋多雨似黄梅。適遇新晴野来。田面水深何所有。    蘋花蒲剣風開。    蘋花蒲剣風開。可識依然租税催。蛩虫鳴草声尤切。    似訴農人荒耗哀。      朧月野外口号    橋柳生糸岸梅蕾。回陽未解我心憂。帝城遥在雪山下。    貧務衣食富裘。




杲々
(こうこう)
明るいさま

(み)
濶(ひろ)く
蟻垤
(ぎてつ)
ありづか



石崎東国
『大塩平八郎伝』
その59








撻(むちう)ち

縲緲
(るいびょう)









流眄
(りゅうべん)
流し目で見る
こと

兀立
(こつりつ)
とびぬけて高く
そびえること

箕踞
(ききょ)
両足を前へ投げ
出して座ること

逼(せま)り
 


『大塩平八郎』目次/その78/その80

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