大阪府 1903 より
所払。 所払は、其の居所を払はる。之れに恰適する罪科は、左の如し。 一、虚官を名乗りし者。 一、死罪となるぺき盗人と知りながら、之れを宿らしめ、其の宿銭を取り し者は、田畑没収のうへ、本刑。 一、盗物たることと知らずして入質の使をなし、礼金を取りし者は、敲の うへ、本刑。 引廻。 引廻の仕方は、罪人を牢より出だし、改番所前にて、三寸廻り程の藁太 お 縄を腰縄にし、苧細引を増縄に掛け、使申渡等形の如く、其の手続を経 て、穢多非人等の人足取囲み、裏門より出で、鞍上に菰一枚を延きて、囚 人を馬に乗せ、三筋の縄を菰に引返し、馬添の非人は、左右両人にて、此 の縄を取り、囚人は馬に縛り付けらるゝことなし。然れども重病人なると きょくろく きは、曲に結び付け、更に鞍に縛り付く。引廻し使は、東西町方与力 二人、馬上にて附添ひ、下役同心は、囚人の人数によりて不同あり。先払 非人五人、幟持手同三人捨札持手同三人、鑓二本持手穢多四人、捕道具二 本持手同四人、其の他、宰領小屋頭の非人等数名にして三郷引廻を終へ、 夫れより一同、死罪場に到り、囚人を裏門前にて馬より下し、処刑するこ と別項の如し。 晒。 又、晒と称する刑あり、専、姦夫姦帰、若くは、多く重罪の加刑として 執行せらる。即、往来の頻繁なる地に杭を建て、後手を縛り、之れに括り 附け、晒すこと二日間に過ぎす。 下手人。 其の他、下手人と称するものは、死罪と同一にして、只、下手人の刑に サマモノ 処せられし死体は、取捨とし、様者に与へず、死刑に処せられし死体は、 取捨とすとも、様者より之れを請求すれば、与へらるとの差あるのみ。蓋、 様者とは、江戸に於いて、死刑を施行する穢多にして、是等は、時々試し 斬をなすとき、首なき是等の死骸を材料となす者なり。然れども我が大阪 に於いては、是等の事なかりしを以つて、其の詳細は、之れを記せず。