○三月六日、御城代土井大炊頭殿より助御用番松平伯耆守殿へ左之御届書差
出さる
私儀大坂御城代に付、領知替被仰付候河内国茨田郡門真三番村年寄郡治、
百姓九左衛門儀、去る十九日、当地出火之節、狼藉人へ組及騒動候段相聞
候に付、同廿日召捕之者差遣候処、何れも宿許に居合不申、同廿一日、郡
治儀、村方へ罷帰り申聞候は、大塩平八郎儀、兼て懇意に御座候処、去る
十八日、同人書籍取片付候間、手伝に参り呉候様申越候に付、同日昼後よ
り罷越致手伝、其夜は同人方に致止宿、翌日に相成、同人部屋へ参候様申
聞候越候処、大坂市中富家之者共焼払、金銀等奪取候て、当時困窮之者へ
施候間、供致候様申聞候に付、驚入断申候処、左候得ば討果候様申出、口
々戸を〆有之、怖敷存、無是非相従ひ、高麗橋辺迄附添参候得共、余り怖
敷存候に付、透有之候間迯去、河州富田村辺へ罷越、段々相考候得者、狼
藉之節頭立候抔と相聞候ては、先祖へ対し相済不申、誠に老母妻子等も有
之候に付、一旦悪党に組不容易儀致候段は重々不埒至極、恐入候得共、致
違背候得ば、討果候由申聞、不得止事附添罷出候儀にて、何様咎被仰付候
共、申分無之儀に付、平八郎に従ひ候訳等存候丈、私領分平野郷役場へ罷
出申達、御憐愍之儀相願申度候に付、召連呉候様村役人へ申聞候由にて、
差出申候間、於同所一通相糺候処、前同様申聞、無拠附添候趣に申立候得
ば、不一通及大事候に付、手限吟味詰難相成候に付、去る廿四日、跡部山
城守へ家来差添差出申候、同村百姓九左衛門儀も、此度平八郎へ相加候処、
庄
先非後悔仕致、自訴候旨、長屋召連罷出候に付、一通り相尋候処、是又手
限之吟味難相成候に付、昨廿七日、山城守方へ差出申候、此段御届申上候、
以上、
二月廿八日 土井大炊頭
右之通御届に相成候事、
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