Я[大塩の乱 資料館]Я
2008.12.25

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大塩の乱関係論文集目次


「大塩中斎」

その15

高瀬武次郎 (1868−1950)

『日本之陽明学』榊原文盛堂 改訂 1907 所収


◇禁転載◇


 学説(1)
 第一綱領―太虚説(1)
管理人註

   

    学 説    第一綱領 ― 太虚説 吾人中斎子を読まされば、則ち止む。苟も之を読まば、必ず 其太虚主義を審明せさるべからず。太虚主義は、中斎哲学の 根底なり。中斎の書幾千万言に及ふと雖も、唯一の太虚主義 を以て之を蔽ふべし。書中横説縦説する所、皆此の太虚主義 の敷演にあらざるはなし。是れ恰も孔子の仁を説き、孟子の 仁義を説き、子思子の誠を説き、老子の虚無を説くが如し。 中斎は、太虚を以て唯一の理想と為し、終生此の理想に接近 せんことを務めたり。中斎は畢生の志願として、唯此太虚に                 ニ ク         スル 帰することを務めたるものなり。故曰、嗚呼、心帰乎太虚   ハ チ カ ラン レヲ   レ リ ラ ル 之願則誰知之乎。我独自知耳、と。中斎子満腔の精神は、之 に向つて発揮し、畢生の心血は之に向つて注射せらる。而し て其書中に太虚を説くこと、精密周到、円融無礙にして更に 余蘊あることなきは、以て其造詣の深慮なるを知るべし。 吾人は、今太虚説を論ずるに当りて、初めに太虚の体を説き、 次ぎに其用を説き、終りに其太虚に帰するの工夫をを説かん とす。

   


井上哲次郎「大塩中斎」その22


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